2025年12月22日にエキシデンサー®皮下注100mgペン・皮下注100mgシリンジの製造販売が承認されました。これはIL-5に対するモノクロナール抗体であり、気管支喘息と慢性副鼻腔炎に有効です。既にIL-5のモノクロナール抗体製剤としてメポリズマブ(ヌーカラ®皮下注)、IL-5受容体αのモノクロナール抗体製剤としてベンラリズマズ(ファランセ®皮下注)がありますが、これらに比べて適応の範囲は少ないですが、使い勝手は非常によくなっています。今回の記事で詳しい作用機序と製剤的な特徴について紹介します。販売開始前の予習にご利用下さい。
まず初めに免疫反応がどのように起きているか見てみましょう。
細菌やウイルスなどの異物が侵入すると樹状細胞、マクロファージなどが貪食します。これらは抗原提示細胞であり、抗原をTh0細胞(ナイーブT細胞)に提示します。するとTh0細胞はIL-4によりTh2細胞に分化し、Th2細胞はIL-4、IL-13を分泌し、これがB細胞を形質細胞に分化し、形質細胞が抗体を産生します。
自己免疫疾患の場合は自己の成分を抗原と認識してしまい、過剰な免疫反応が生じてしまうわけですね。

※デュピルマブ(デュピクセント®皮下注)はヒトIL-4受容体、IL-13受容体のモノクロナール抗体であり、IL-4受容体、IL-13受容体のIL-4Rαという共通のサブユニットに結合することにより、IL-4、IL-13の作用を阻害し、アレルギー反応を抑制するわけですね。
Th0細胞はIL-4、IL-13以外にもIL-5を分泌します。
IL-5は好酸球の成熟・増殖を促進し、またアレルギー反応、炎症反応が起きている部位に好酸球を運び、さらに活性化します。IL-5により活性化された好酸球はIL-4、IL-5、IL-13、TNFα、TGF-β、MBPなどの様々なサイトカインを分泌し炎症反応が生じたり、組織の破壊や線維化といった症状が生じるわけです。
※IL-5で自己活性化、IL-4・IL-13で形質細胞の産生を促進し、形質細胞からIgE抗体が産生、TNFαは炎症反応を起こし、TGF-βは組織を線維化、MBPは細胞傷害

ここまでで免疫反応におけるIL-5の働きが分かったと思います。
それでは今回の記事で紹介するエキシデンサー®皮下注100mgペン・皮下注100mgシリンジについて見てみましょう。
・有効成分、作用機序について
エキシデンサー®皮下注100mgペン・皮下注100mgシリンジの有効成分はデペモキマブといい、遺伝子組み換えにより作られたヒト化抗IL-5モノクローナル抗体です。つまりIL-5に結合することでIL-5の働きを阻害し、アレルギー反応を抑制します。前述したIL-5の働きを見れば、これを阻害することでアレルギー反応が抑えられることはすぐに理解できると思います。
・効能、効果について
効能・効果は以下のようになっています。
・気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)
・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)
好酸球は気道、副鼻腔の他に皮膚や消化管など様々な場所に分布しますが、今のところ適応をもっているのは気管支喘息と慢性副鼻腔炎のみです。
どちらも既存の治療を行って、それでも効果が不十分な場合に限られます。また慢性副鼻腔炎では鼻茸がないといけません。
※鼻茸 鼻の中にできるポリープ。粘膜が炎症で垂れ下がったもの。
・用法及び用量について
気管支喘息、慢性副鼻腔炎ともに以下のようになっています。
・気管支喘息
「通常、成人及び12歳以上の小児にはデペモキマブ(遺伝子組換え)として1回100mgを26週間ごとに皮下注射する。」
・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎
「通常、成人にはデペモキマブ(遺伝子組換え)として1回100mgを26週間ごとに皮下注射する。」
エキシデンサー®皮下注100mgペン・皮下注100mgシリンジはどちらも1本でデペモキマブ100㎎です。26週間、おおよそ半年ごとに1本皮下注射すればよいことになります。
気管支喘息のみ12歳以上から使えることになっています。
注射部位は上腕部、大腿部又は腹部となっています。
デペモキマブはIgG1のモノクローナル抗体であり、H鎖のFc領域の3つのアミノ酸置換しています。
※YTE修飾 メチオニン (M) → チロシン (Y) セリン (S) → スレオニン (T) スレオニン (T) → グルタミン酸 (E)
これにより半減期が非常に長くなっています。そのため約半年に1回という低い頻度での投与が可能となります。
・副作用について
重大な副作用にアナフィラキシーがあり、頻度の高い副作用は局所注射部位反応(疼痛、紅斑、腫脹、そう痒)です(1%以上5%未満)。
注射であれば当たり前の副作用であり、デペモキマブ特有の副作用は見当たりませんでした。
・使用上の注意について
エキシデンサー®皮下注100mgペン・皮下注100mgシリンジは投与前に室温で最低30分放置することになっています。また開封後は8時間以内に投与しなければならず、8時間以内に投与しなかった場合は廃棄しないといけません。
※開封しなければ室温でで外箱に入れたまま、7日間は保存可能です。
エキシデンサー®皮下注100mgペン・皮下注100mgシリンジは在宅自己注射の対象になっておらず、病院で使用します。そのためこの辺は特に心配ないでしょう。
今回の記事でエキシデンサー®皮下注100mgペン・皮下注100mgシリンの特徴とIL-5の働きについて理解できたでしょうか?
近年アレルギーに対する生物学的製剤が多く登場しています。生物学的製剤は値段は高いですが効果が高いのが特徴です。さらに今回のように半年に1回の使用で済むのは患者さんにとって非常に負担が少なくなります。今後もより使い勝手のいい生物学的製剤の登場を楽しみにしましょう。
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