人生で初めて円形脱毛症になってしまいました💦現在経過観察している状況ですが、ちょうど先月、円形脱毛症治療薬に新たな薬の承認されたことを思い出しました。2023年5月29日にリットフーロ®カプセルが円形脱毛症の承認を取得しました。まだ承認されただけで薬価収載もされておらず、本来はこのような段階ではあまり記事にないのですが、自身が円形脱毛症になった機会ですし、今回の記事で紹介しようと思います。
最初に円形脱毛症について学びましょう。
まず初めに髪が成長し、抜けるまでのサイクルを確認します。髪は図のように 毛母細胞から毛が生まれ成長する成長初期⇒毛がより成長し皮膚表面に出てくる成長後期⇒毛の成長が止まり抜け落ちる退行期⇒毛が抜けて次の毛が生えるまでの休止期 のサイクルを繰り返します。
特に成長期の毛根が損傷してしまうと毛が一気に抜けてしまいます。これが円形脱毛症です。
円形脱毛症の原因は以下のようなものが考えられています。
・自己免疫疾患によりT細胞が毛包を攻撃してしまい、毛が抜け落ちてしまう
・アトピー素因(アトピー性皮膚炎、気管支炎、アレルギー性鼻炎などの既往歴)
(因果関係については不明ですが、約40%の患者がアトピー素因があると言われています)
・ストレスによる交感神経の興奮により血管が収縮し、毛根への栄養補給の阻害
(ストレスは自己免疫疾患の誘発要因にもなります)
・遺伝的要因
以上のようなものが考えられていますが、現在最も有力視されているのは自己免疫疾患です。
リットフーロ®カプセルの有効成分はリトレシチニブと
リトレシチニブはJAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬といいます。T細胞の毛包への攻撃はIL-15、IL-21が関与しているとされています。IL-15、IL-21受容体を刺激するとヤヌスキナーゼ(JAK)が活性化されます。
リトレシチニブはIL-15、IL-21のATP結合部位を遮断することでJAK3の活性化を阻害します。※JAK1、JAK2、TYK2は阻害しません
またTECファミリーキナーゼという、細胞質に存在する非受容体型のチロシンキナーゼを阻害します。TECファミリーキナーゼはBTK、ITK、TEC、BMX、TXKの5種類があり、B細胞の発生・活性化、T細胞の活性化の役割を担っており、TECファミリーキナーゼを阻害することでB細胞、T細胞の活性化を阻害し、炎症反応が抑制されるわけです。
2022年6月20日にJAK阻害薬としてバリシチニブ(オルミエント®)が円形脱毛症に適応を持ちましたが、リットフーロ®カプセルは2例目になります。しかしJAK3だけでなく、TECファミリーキナーゼも阻害することから、より効果が期待できます。
リットフーロ®カプセルはまだ承認がされただけであり、添付文書もインタビューフォームもありません。そのため分かっていることはほとんどありませんが、以下の内容は分かってるようです。
・用法用量
「通常、成人及び12歳以上の小児には、リトレシチニブとして50mgを1日1回経口投与する」
規格は50mgので1日1回、1カプセルのみとなります。食前食後の記載はありません。
・適応
「円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」
円形脱毛症には
円形または楕円形の脱毛斑が出来る単発型
脱毛斑が2つ以上できる多発型
脱毛斑が後頭部から側頭部の髪の生え際にそって広がる蛇行型
脱毛斑が頭部全体に広がる全頭型、
髪だけでなく眉毛など全身の全ての毛が抜け落ちる汎発型
があります。”脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る”とあるので、少なくとも単発型は対象外でしょう。
用法用量、適応に関してはオルミエント®錠と同じです。
副作用に関する情報はまだありませんが、オルミエント®錠と同様に最も注意すべきは感染症でしょう。これはJAK阻害薬が免疫抑制剤の1種であることを考えれば当然と言えます。
今までの円形脱毛症治療薬はグリチロン®配合錠、セファランチン®、外用ステロイド程度しかありませんでした。2022年6月20日にオルミエント®錠が使えるようになったことにより、ようやく新たな治療法が追加されました。オルミエント®錠、リットフーロ®カプセルもまだ広範囲、難治と限られた状態でしか使えませんが、使用実績が増えればもっと軽症にも保険適応が拡大されるかもしれません。
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