その浮腫、Ca拮抗薬が原因かも

調剤報酬

平素から医師と往診同行を行っていますが、ある患者さんで浮腫が目立つ人がいました。その方の処方は以下の内容になります。

Rp(1)(般)オルメサルタン口腔崩壊錠10mg 1錠
    (般)アムロジピン錠2.5mg 1錠
    (般)酸化マグネシウム錠330㎎ 1錠
       1日1回  朝食後   14日分
Rp(2)(般)レベチラセタム錠500㎎ 2錠
       1日2回  朝夕食後  14日分

主治医は浮腫が改善しないようなら利尿剤の追加を検討していました。しかしある日代理の医師の往診になり、この患者さんには利尿剤を追加するのではなくアムロジピン錠2.5㎎を中止して様子を見ようとなりました。今回の記事でなぜアムロジピンが中止になったか、Ca拮抗薬で浮腫が起きるメカニズムはどうなっているかを解説します。

 
・Ca拮抗薬で浮腫が起きるメカニズム
Ca拮抗薬は血管を拡張させることみんな知っているでしょう。それでは主にどこの血管を拡張させるでしょうか?答えは細動脈を拡張させます。
血液は毛細血管で酸素と二酸化炭素のガス交換が行われます。毛細管の手前の血管を細動脈といい、毛細血管の後の血管を細静脈といいます。前述したようにアムロジピンは細動脈を拡張させますが、細静脈は拡張させません。その結果どうなるでしょうか?
毛細血管に流れ込む血液量は増えるのに、毛細血管から排出される血液量は変わりません。すると毛細血管で血液が渋滞し、毛細血管圧が上昇します。その結果毛細血管から水分が漏れ出て浮腫につながります。これがCa拮抗薬による浮腫のメカニズムです。


・Ca拮抗薬による浮腫に利尿剤は有効か?
通常は浮腫が起きた場合は利尿剤を追加することがほとんどでしょう。しかしCa拮抗薬による浮腫は利尿剤はあまり効きません。これを理解するために浮腫がおきる代表的な疾患である心不全と肝硬変のケースと比べてみましょう。

心不全の場合は心臓のポンプ機能の低下により腎血流量が減ります。すると腎臓が血液量が不足していると勘違いし、抗利尿ホルモンの分泌やRAA系(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)が活性化します。その結果、体全体の水分量が増加します。
肝硬変の場合は肝臓の線維化により門脈圧が上昇します。これにより門脈から水分が漏出し腹水になります。また肝臓でのアルブミンの産生の低下により血液の浸透圧が低下し、水分が漏出します。これらにより抗利尿ホルモンの分泌やRAA系が活性化し浮腫になります。

前述したようにCa拮抗薬による毛細血管圧が上昇し、血管から水分が漏出している状態です。これは毛細血管の局所的な現象であり、全身の現象ではありません。そのため体全体の水分量は増加せず、利尿剤の効果はあまり期待できません。


・他のCa拮抗薬への切り替え
Ca拮抗薬は基本的にL型Caチャネルを遮断させます。L型Caチャネルは細動脈に存在するので、前述したような浮腫が起きる原因となります。しかしCaチャネルにはN型やT型も存在しますN型Caチャネルは細静脈にも存在します。つまりL型だけでなくN型も遮断すれば毛細血管圧が上昇するのを防止できます。
シルニジピン(アテレック®錠)はL型およびN型Caチャネルを阻害するのでアムロジピンからの切り替えで浮腫の軽減が期待できます。


またCaチャネルにはT型も存在し、全身に広く分布しています
腎臓では輸入細動脈と輸出細動脈の両方を拡張するため糸球体内圧を減少させ、腎保護作用をしめします。
心臓では洞結節に存在し、血圧低下による反射性頻脈を起こすので、T型Caチャネルを阻害することで頻脈を抑制できます。
ベニジピン(コニール®錠)やエホニジピン(ランデル®錠)はL型、N型、T型のいずれのCaチャネルも遮断します。浮腫の軽減だけでなく、浮腫だけでなくタンパク尿がある場合にはベニジピンやエホニジピンへの切り替えが有効でしょう。

ベニジピンとエホニジピンが腎実質性高血圧に有効なのも理解できますね。



今回の事例では患者の血圧コントロールが良好だったためアムロジピン錠(2.5)をカットするにしました。Ca拮抗薬が必要な場合はシルニジピンかベニジピン、エホニジピンへの切り替えになっていたでしょう。なお降圧効果は アムロジピン5㎎≒シルニジピン10㎎≒ベニジピン4㎎ です。これを参考にして規格を決めるよいでしょう。
※エホニジピンは20~40㎎と幅が大きいので比較し辛いです

今回の記事でCa拮抗薬による浮腫とその対応について理解できたでしょうか?
浮腫が起きると利尿剤を追加するのは最も多く見られますが、薬剤師にはポリファーマシーを防止することも求められます。安易に薬を増やす前に使用中の薬による影響がないかを検討することも必要でしょう。

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