記事を書く暇がなくまたまた間隔が空いてしまいました💦ようやく少し時間が取れたので早速記事を上げようと思います。2025年12月22日に千寿製薬株式会社のアバレプト®懸濁性点眼液の製造販売が承認されました。薬価収載、販売はまだですが、販売されたらすぐに使用される機会が増えると思っています。今回の記事でアバレプト®懸濁性点眼液について解説します。今のうちに予習しておきましょう。
アバレプト®懸濁性点眼液はドライアイの目薬ですが、主にドライアイによる眼痛や充血といた症状を改善します。まずはドライアイについておさらいしましょう。
・ドライアイについて
涙液の減少や涙液の質の異常により角結膜が乾燥し、場合によっては角結膜に傷がつく状態をしめします。角結膜の乾燥により目の乾き、疲れ、かすみ、異物感などの不快感といった症状を生じることがあります。
角結膜の表面は涙液膜により覆われています。涙液膜の表面は油層であり、その内側はムチンなどのタンパク質を含んだ水層(涙液層)となっています。
涙液の減少により水層が足りなくなったり、涙液の成分異常で油層が少なくなると水層の水分がすぐに蒸発してしまい、眼表面が露出してしまい外部刺激が角結膜上皮細胞に直接届いてしまいます。
その結果乾燥感、異物感、眼痛、充血といった症状が起きます。また眼の渇きにより反射的に涙がでる涙目になったり、油層にムラが出来て光が乱反射することでかすみ目が起きることもあります。
現在のドライアイ治療薬は涙液とムチンの両方の分泌を促進するジクアホソルナトリウム(ジクアス®点眼液)、ムチンの分泌促進と結膜杯細胞の産生を促進するレバミピド(ムコスタ®点眼液UD)、外部から潤いを補充するヒアルロン酸ナトリウム(ヒアレイン®点眼液)などがあります。
ここまででドライアイの状態について復習できたと思います。続いてアバレプト®懸濁性点眼液の解説になりますが、その前に今回最も重要になってくるTRPV1について学びましょう。
・TRPV1について
体外からの刺激を脳や脊髄に伝達する1次求心性感覚神経といいますが、三叉神経節細胞、角膜上皮細胞、T細胞などの1次求心性感覚神経には熱(43℃以上)、酸、カプサイシンによる侵害刺激に反応するTRPV1という受容体が存在します。
TRPV1はイオンチャネル内蔵型受容体であり、受容体の刺激によりNa⁺、Ca²⁺、K⁺、Mg²⁺などの陽イオンを非選択的に通します(Na⁺、Ca²⁺、Mg²⁺は細胞外から細胞内へ、K⁺は細胞内から細胞外へ)。
主にNa⁺とCa²⁺の細胞内に流入する結果、細胞は活動電位を起こします。その結果、痛みや熱さを感じたり、また刺激を受けた神経終末からカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)やサブスタンスPなどが放出され、血管拡張による発赤や腫脹を起こします。
また炎症が起きるとTNFα、IL-6、IL-1βなどの炎症性サイトカインによりTRPV1がリン酸化されます。リン酸化されたTRPV1は感受性がよくなり、痛みや熱さを感じやすくなります。
・ドライアイとTRPV1の関係
ドライアイは涙液の減少や涙液の質の異常により角結膜表面の涙液の塩分濃度が高くなっている状態にあります(油層の減少により涙液の水分がすぐに蒸発してしまうため)。そのため角結膜表面が高浸透圧状態になり、角結膜から水分が移行することで表面細胞が損傷しやすくなります。その結果角結膜細胞は炎症性サイトカイを放出します。
前述したように炎症性サイトカインはTRPV1をリン酸化することでTRPV1の感受性が上昇します。また炎症部位は酸性化するため、大量に生じたH⁺がTRPV1を直接刺激します。
これらのことにより角膜の乾燥が痛みや充血といった症状を引き起こすことになります。
ここまででドライアイとTRPV1について分かったでしょうか?それではアバレプト®懸濁性点眼液について見てみましょう。
アバレプト®懸濁性点眼液の有効成分はモツギバトレプといい、これはTRPV1拮抗薬です。TRPV1を阻害することで前述したドライアイによる痛みや充血といった症状を改善できることが分かると思います。それではアバレプト®懸濁性点眼液について詳しく見てみましょう。
・効能・効果、用法および用量について
効能・効果は「ドライアイ」です。”自覚症状の改善”とは書かれていないですね。
用法及び用量は「通常1回1滴、1日4回点眼する」となっています。
また”重要な基本的注意”に
「本剤の点眼後、一時的に目がかすむことがあるので、機械類の操作や自動車等の運転には注意させること。」
と記載されています。TRPV1を阻害すれば当然細胞の活動電位も阻害されます。その結果、一時的に目がかすむのは仕方ないでしょう。
・副作用
副作用については以下のようなものが挙げられています。
”臨床使用に基づく情報”に以下の記載があります。
「モツギバトレプを単回経口投与した海外臨床試験において血漿中モツギバトレプ濃度依存的な体温上昇及び熱痛知覚閾値上昇が認められている。」
「他のTRPV1拮抗薬を経口投与したとき、ときに40℃に至る体温上昇が認められたとの報告がある」
TRPV1は前述したように熱や痛みに対する受容体です。これを阻害してしまうので体温が上昇したり、痛みを感じにくくなってしまうのは容易に想像できます。アバレプト®懸濁性点眼液は点眼といった局所投与なので全身症状はありませんが、患部の冷感や異常感といった症状はおきてしまうようですね。
今回の記事でTRPV1とアバレプト®懸濁性点眼液について理解できたでしょうか?
これまでのドライアイの治療と異なり、症状を直接改善するものです。そのためドライアイそのものを治す効果はありません。おそらく従来のドライアイ用点眼液と併用になるでしょう。ドライアイで眼の痛みに悩まされている人には朗報かもしれません。眼科近くの薬局は発売されたらすぐに在庫するようにしましょう。
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