ライゾデグ®配合注フレックスタッチが®限定出荷となっております。海外の製造拠点で出荷スケジュールが遅れているようですね。12月からは通常出荷になりそうですが、それまでに足りなくなってしまう可能性もあります。足りなくなった時に備えておくことは必要です。足りなくなった際は今回の記事を参考にして対応してもらえればと思います。
・ライゾデグ®配合注フレックスタッチ®について
まずライゾデグ®配合注フレックスタッチ®について確認しましょう。
ライゾデグ®配合注フレックスタッチ®は超速効型のインスリン アスパルトと持効型のインスリン デグルデクが3:7の割合で配合されたインスリン製剤です。
超速効型のインスリン アスパルトが投与直後から速やかに効果を発揮し、その後は持効型のインスリン デグルデクの効果が持続します。
そのため用法は以下のようになっています。
「通常、成人では、初期は1回4~20単位を1日1~2回皮下注射する。1日1回投与のときは、主たる食事の直前に投与し、毎日一定とする。1日2回投与のときは、朝食直前と夕食直前に投与する。投与量は症状及び検査所見に応じて適宜増減するが、維持量は通常1日4~80単位である。但し、必要により上記用量を超えて使用することがある。」
超速効型インスリンが配合されているので食直前であり、時効型インスリンが配合されているので1日1~2回なわけです。
さて前述したようにライゾデグ®配合注フレックスタッチ®はインスリン アスパルトとインスリン デグルデクの配合剤です。
インスリン アスパルト⇒ノボラピット®注フレックスペン®
インスリン デグルデク⇒トレシーバ®注フレックスタッチ®
つまりノボラピット®注フレックスペン®とトレシーバ®注フレックスタッチ®の合剤ということになります。ライゾデグ®配合注フレックスタッチ®が欠品した場合はノボラピット®注フレックスペン®とトレシーバ®注フレックスタッチ®にするのが最も理にかなっていると言えますね。
実際にノボ ノルディクスファーマ株式会社でもライゾデグ®配合注フレックスタッチ®の代替薬として紹介されています。⇒ ライゾデグ®配合注 フレックスタッチ®の出荷調整・出荷停止についてのご案内
続いて実際に切り替える際はどのようにするか見てみましょう。
・ライゾデグ®配合注フレックスタッチ®からの切り替え方
まずはノボラピット®注フレックスペンとトレシーバ®注フレックスタッチ®の使用単位を決めます。例えばライゾデグ®配合注フレックスタッチ®が1日1回、1回30単位だったとしましょう。
インスリン アスパルトとインスリン デグルデクが3:7の割合で配合されているので、この場合
インスリン アスパルト:30×0.3=9単位
インスリン デグルデク:30×0.7=21単位
となります。つまりノボラピット®注フレックスペン®は9単位、トレシーバ®注フレックスタッチ®は21単位となりますね。
ここでノボラピット®注フレックスペン®とトレシーバ®注フレックスタッチ®の使用方法について確認しましょう。
ノボラピット®注フレックスペン®
「通常、成人では、初期は1回2~20単位を毎食直前に皮下注射する。なお、投与量は症状及び検査所見に応じて適宜増減するが、持続型インスリン製剤の投与量を含めた維持量は通常1日4~100単位である。」
トレシーバ®注フレックスタッチ®
「通常、成人では、初期は1日1回4~20単位を皮下注射する。投与量は患者の状態に応じて適宜増減する。他のインスリン製剤を併用することがあるが、他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1日4~80単位である。但し、必要により上記用量を超えて使用することがある。注射時刻は原則として毎日一定とするが、必要な場合は注射時刻を変更できる。」
トレシーバ®注フレックスタッチ®は1日1回以外ありえないですので、1日1回、1回21単位に決定です。
ノボラピット®注フレックスペン®の用法は毎食直前になります。そのためライゾデグ®配合注フレックスタッチ®に含まれているインスリン アスパルトを毎食直前に分割することになります。この場合は朝昼夕と3単位ずつですね。
このケースでは
ノボラピット®注フレックスペン® 毎食直前 各3単位
トレシーバ®注フレックスタッチ® 就寝前 21単位
となるでしょう。ライゾデグ®配合注フレックスタッチ®に比べて随分と面倒くさくなってしまいますが仕方ありません。
なおメーカーに確認したところ、この考えで合っていますが、ノボラピット®注フレックスペン®については医師の判断で回数を減らすことも可能とのことでした。例えば
ノボラピット®注フレックスペン® 毎食直前 各4単位 ⇒ 朝夕食直前 各6単位
というのもあり得ます。まあライゾデグ®配合注フレックスタッチ®はインスリン アスパルトを1日1~2回で投与しているので、ノボラピット®注フレックスペン®を1日1~2回にしても問題ないでしょう。
・ノボラピット®30ミックス注フレックスペン®への切り替えの場合
ノボ ノルディクスファーマ株式会社は代替薬としてノボラピット®30ミックス注フレックスペン®も紹介しています。まずノボラピット®30ミックス注フレックスペン®について確認しましょう。
ノボラピット®30ミックス注フレックスペン®は超速効型のインスリン アスパルトと中間型のインスリン アスパルト(プロタミン結晶性インスリン アスパルト)を3:7の割合で配合した製剤です。
※中間型インスリン アスパルトはインスリン アスパルトに硫酸プロタミンを結合させ結晶化させたものであり、 溶解速度と血中への移行速度が遅くなり、作用時間が長くなります。
超速効型インスリンについてはライゾデグ®配合注フレックスタッチ®と一緒ですが、
インスリン デグルデクはプロタミン結晶性インスリン アスパルトより効き目が長いです。
※インスリン デグルデク製剤のトレシーバ®注フレックスタッチ®の添付文書を参照にして比較しています。
またインスリン デグルデクの効き目はほぼ平坦ですが、プロタミン結晶性インスリン アスパルトは効果にピークが存在します。そのため血糖値の変動が起きる可能性はあります。そのため使用単位が変わる可能性もあります。こればかりは医師の判断と日頃からの血糖コントロールによるので何とも言えません。
ただし使用可数についてはライゾデグ®配合注フレックスタッチ®と一緒なので患者にとってはよいでしょう。
今回の記事でライゾデグ®配合注フレックスタッチ®とその切り替えについて理解できたでしょうか?もう何年も医薬品不足が続いており、一向におさまる気配がありません。医薬品の薬理作用だけでなく、薬物動態も理解して適正に切り替えられるようにしましょう。
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