2024年度 調剤報酬改定 調剤基本料

調剤報酬

調剤報酬の改定の情報がどんどん出揃ってきたので、また紹介します。今回の記事では全ての薬局に関係する調剤基本料についてです。調剤基本料は処方箋を受付した以上は必ず算定する最も基本的なものなので、なるべく詳しく解説しようと思います。


今回の改定で調剤基本料がどのように変わったか、結論から先に挙げます。改定点は大まかに以下のようになります。

・調剤基本料1~3がいずれも一律3点アップ
・特別調剤基本料がAとBに分かれた
・調剤基本料2の適応範囲が拡大し、調剤基本料1から2になり減点される薬局が多くなる


これらをふまえて確認していきましょう。
改定後の調剤基本料の一覧は以下の図ようになります。

今回の改定で特別調剤基本料以外の調剤基本料は一律3点アップしています。
(調剤基本料1:42点⇒45点 調剤基本料2:26点⇒29点・・・といった形です)
一方、特別調剤基本料は7点⇒A:5点 B:3点 と減点されています。

自身の薬局の調剤基本料がどれに該当するかは
特別調剤基本料に該当するか ⇒ 調剤基本料3に該当するするか ⇒ 調剤基本料2に該当するか ⇒ いずれに該当しないなら調剤基本料1
のような見ていくとちょうどいいと思います。
そのため特別調剤基本料、調剤基本料3、調剤基本料2、調剤基本料1の順に見ていきましょう。

・特別調剤基本料について
特別調剤基本料=敷地内薬局 と思っている人も多いですが、厳密な定義は異なります。
特別調剤基本料に該当する薬局は以下のような薬局です。
「保険医療機関と不動産取引等その他特別な関係を有している保険薬局であって、当該保険医療機関に係る調剤の割合が50%を超える」

”不動産等その他特別な関係を有している”とは以下のものです。

1の要件として、敷地内薬局はもちろん、駐車場の賃貸借契約をしていても該当します。(ただし医療ビルなど保険医療機関と同じ建物に薬局がある場合は除かれます
3の記載にあるように医療機関に会議室などを貸している薬局も同様ですね。
2の要件は医療機関が薬局に建物を譲渡して、その建物で薬局を経営している場合や、他にも医療機関が薬局に関係ない人に建物を譲渡して、その人が建物を薬局に貸し出してしている場合などが該当します。

改定前はこのような”不動産等その他特別な関係を有している”薬局が、当該医療機関からの処方箋の集中率が70%を超えている場合に該当していました。今回の改定で70%が50%に引き下げられます
特別な関係を有していても、その医療機関からの処方箋集中率が70%を超えていれば特別調剤基本料から外れましたが、今回の改定で50%に引き下げられますので、特別調剤基本料に該当する薬局が増えるでしょう。
なお従来の特別調剤基本料は今回より特別調剤基本料Aになります。前述した要件の他に、現在は調剤基本料の届け出を行っていない薬局は自動的に特別調剤基本料になっています。しかし今回の特別調剤基本料Aは届け出が必要です。そして届出をしなかった場合は特別調剤基本料Bになります

特別調剤基本料Aは5点、Bは3点と非常に厳しい減算となっており、さらにどちらもペナルティーが科せられています。
共通するのは「7種類以上の内服薬の調剤を行った場合は、薬剤料の減額が行われる(90/100にする)」ことです。
特別調剤基本料Bでは、調剤基本料における全ての加算、調剤管理料、服薬管理指導料、その他全ての対人業務における技術料が算定不可です。算定できるのは調剤基本料(加算は無し)、薬剤調整料、薬剤料、特定医療材料料だけです。
特別調剤基本料Aでは、調剤基本料において地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算、連携強化加算が算定できなくなり、対人業務における技術料においては、かかりつけ薬剤師指導料における特定薬剤管理指導加算2と吸入薬指導加算が算定できなくなり、服薬情報等提供料、調剤後薬剤管理指導料、外来服薬支援料、服用薬剤調整支援料2が算定できなくなります。また在宅薬学総合体制加算は10%減算になります。

もはや特別調剤基本料Bでは薬局を経営するのは不可能でしょう。まあ届出さえ出せば回避できるので、キチンと届出をしろということでしょう。

・調剤基本料3について
こちらは特に変更なしです。同一グループでの処方箋受付回数の合計が1ヶ月で40万回を超える、または同一グループの保険薬局の数が300以上の薬局は自動的に3のロまたは3のハになります。この辺が大規模グループ薬局の悲しいところですね。

・調剤基本料2について
今回の改定で特別調剤基本料の他に大きく変わった箇所が、この調剤基本料2です。現在までは月の処方箋受付回数が4000回を超えても、集中率が70%以下なら調剤基本料1でいられました。(特定の医療機関の受付回数が1ヶ月に4000回を超える場合を除く)
この集中率ですが、薬局のすぐ近くに複数の医療機関がある場合は、ほとんど何の努力もしなくても集中率が70%を超えることは滅多にありません。

これでは医療モールにおける処方箋の受付と似たような形であり、薬局の本来のかかりつけ機能を発揮しているかは微妙です。そこで今回の改定でメスが入ったわけです。
今回の改定では1ヶ月の処方箋の受付回数が4000回を超える場合は、上位3医療機関の合計の処方箋受付回数の集中率が70%を超える場合に改定されました。

大規模グループの薬局は調剤基本料3のロか3のハになっていますが、中規模グループ薬局で受付回数が多い薬局も調剤基本料1から2に下がるところが出てくるでしょう。

・調剤基本料1について
これまで紹介した調剤基本料のいずれにも該当しない場合は調剤基本料1に該当します。
なお「調剤基本料の「注1」ただし書に規定する施設基準に該当する保険薬局」は、これまで紹介したいずれのケースに該当する場合でも調剤基本料1が算定されます。
調剤基本料の「注1」ただし書に規定する施設基準は以下の全てを満たすものが該当します。

※「医療を提供しているが、医療資源の少ない地域」は厚生局のHPで紹介されています ⇒ こちら
そもそも病院が少ない地域では、集中率がどうのといっていられないからですね。


今回の記事で調剤基本料について理解できたでしょうか?
どの調剤基本料に該当するかを示したフローチャートのようなものも存在しますが、最も確実なのは記事の冒頭で紹介した調剤基本料の表を、下から1個1個自分の薬局に該当するか見ていけばよいと思います。また6月に改定が行われる際には、調剤基本料の届け出を忘れないようにしましょう。忘れると特別調剤基本料Bになってしまい、冗談でも何でもなく、経営破綻してしまいますからね。

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