多発性骨髄腫 ③DMPB療法のサイクル その他の薬物療法

癌の薬

前回前々回の記事に続いて多発性骨髄腫の最後の記事になります。DMPB療法において、どの薬をいつ使うかを紹介します。その他にも使う薬について紹介しますので、引き続きご覧ください。

DMPB療法は前回の記事で紹介した4種の薬を使うことになりますが、いつ使うかがそれぞれで異なります。またコース毎に使い方も変わってくるので、1つ1つ見ていきましょう。
DMPB療法は各医療機関により異なりますが、1~9コース目までは42日間のサイクルで、10コース目からは28日間にサイクルにすることが多いようです。

1コース目は42日間のサイクルで行います。内容は以下のようになります。

ダラツムマブは週に1回、週の初日に投与します。メルファランは最初の週に4日間だけ投与し、残りの5週は休薬です。プレドニゾロンも最初の週に3日間だけで、残りの5週は休薬です。ボルテゾミブは週の1日目と4日目に投与です。1週目、2週目と繰り返し、3週目は休薬です。4~6週目も同様に行います。

2コース目以降は1コース目に比べて減薬となります。1コース42日間のサイクルで行い、これを9コース目まで繰り返します。内容は以下のようになります。

ダラツムマブは週に1回、1週目に投与して2,3週目は休薬です。これを4~6週目も同様に行います。メルファラン、プレドニゾロンは1コース目と同じですね。ボルテゾミブは週の1日目の投与は同じですが、4日目の投与が無くなります。

10コース目からは1サイクル28日間になります。最初の週の初日にダラツムマブを投与するのみです。ここまでくると大分楽になりますね。


以上のような流れになります。
1コース目は週に1回ダラツムマブを投与する必要があるので、基本的には入院して行うことになります。2コース目以降は退院して外来での治療が可能になります。うちの薬局に来た患者さんも2コース目に入ったところで退院しましたね。9コース目まではボルテゾミブの投与(注射)があるので、1週に1回の通院を2週行い、その翌週はお休みです。3週間で2回の通院を行うことになりますので、結構大変ですね。10コース目になってしまえば月に1回の受診で済むので大分負担は軽減されます。

またダラツムマブを投与する際はインフリュージョンリアクションを防ぐために、抗ヒスタミン薬やステロイドを事前に投与することがほとんどです。
多くの施設でポララミン®注、デカドロン®注を投与するようですが、うちの患者さんはポララミン®錠を1錠、デカドロン®錠(4)を5錠内服でしたね。
プレドニゾロンは週の2日目から3日間服用し、初日には服用しませんが、これはダラツムマブの投与の前にデキサメタゾンを投与するからですね。

その他にも発熱の副作用が起きることがあるので、アセトアミノフェンも事前投与します。うちの患者さんではカロナール®錠の200㎎錠と500㎎錠を1錠ずつでした。

こうしてみると治療は結構大変ですね。多発性骨髄腫は10万人につき5人程度しか患者さんはおらず、なかなか目の当たりにすることがありませんが、実際に対応することになったら、沢山の薬を使っているので、それぞれの薬に対応する副作用についても確認しないといけません。その他にも骨痛を抑えるために麻薬性鎮痛薬(うちの患者さんはオキシコドン)も処方されるため、頻繁に来局することになります。処方内容を正しく理解し、患者さんに寄り添ってあげられるよう精進します。

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