乾癬① 病態について

疾病・病態

先日乾癬についてのWebセミナーを受けました。なかなかいい内容だったのですが、基本的には乾癬についてある程度知っていないと十分な理解はできない内容だったと思います。乾癬の中でも膿疱性乾癬は難病指定であり、あまりお目にかからない病気かもしれません。今回は乾癬について学ぼうと思います。

乾癬は皮膚の表面に銀白色の鱗屑(りんせつ)を伴う炎症性角化症です。※鱗屑とは皮膚の粉のことです。
炎症は境界線がハッキリしており、全身のあちこちに出来ます。炎症部位では表皮濃厚が見られます。
近年TNFαやIL-17、IL-23といったサイトカインが過剰に産生、分泌されることによって炎症や角化細胞の過剰な増殖が生じることが分かってきました。正常な表皮細胞のターンオーバー(基底膜にできた細胞が表皮から垢となって剥がれ落ちるまでの期間)は28日ですが、乾癬の場合は4~5日程度と極めて短くなっており、新陳代謝が異常に亢進した状態です。原因はまだハッキリ分かってはいませんが、遺伝的要因があるとされ、さらにこれにストレス、感染症、肥満などの環境因子が加わることによって発症するとされています。環境因子で症状が引き起こされることもあるので、例えばこすったりの刺激で異常の無い箇所にも症状が広がることもあります。約半数がかゆみを伴い、爪の変形や関節炎を併発することもあります。

乾癬にはいくつかの種類があります。

・尋常性乾癬

乾癬の中で最も多く、約90%がこのタイプです。肘や膝などの関節部、頭皮、臀部に多く見られます。皮膚のあちこちに紅斑ができて、表面が鱗屑となって剥がれ落ちます。また爪にも症状が出ることが多いのが特徴です。

・滴状乾癬

1cmほどの小さな紅斑が特に手足に多くできます。小児に多くみられ、溶連菌感染による咽頭炎が誘因となることが多いとされています。症状は急激に進行しますが、治癒も早いとされています。

・膿疱性乾癬

高熱や倦怠感とともに紅斑の上に無菌性の膿疱が出現します。※膿疱 水疱の内容物が膿のものです
膿疱はいずれ破れてタンパク液を漏出するので、低タンパク血症を起こすことがあります。その他関節炎症状を伴うことが多いです。難病指定されており、通常は入院を要します。

・乾癬性紅皮症

乾癬による紅斑が全身に広がった状態です。全身の炎症とそれに伴う血管の拡張が起きる結果、体温調節機能の低下により発熱や悪寒が起き、さらに血管透過性の亢進により浮腫が起きます。また大量の鱗屑が剥がれることによって低タンパク血症を生じます。

・関節症性乾癬

乾癬よる皮膚症状に加えて関節炎を合併したものです。関節炎は不可逆的になることもあるため、早めの治療が必要です。免疫系の異常によりTNFαが大量に放出された結果、関節で慢性的な炎症が起き、関節炎を起こします。
全身治療が必要になり、抗リウマチ薬やバイオ製剤が使われます。

今回の記事では乾癬にたいする基礎知識を書きました。乾癬は寛解と増悪を繰り返すため、長期にわたる治療が必要になります。そのためまずはこの病気について知って、患者さんの痛みや苦しみが分かるの大切だと思います。その上で適切な服薬指導やアドバイスができれば幸いです。
次回の記事では治療薬について書いていきます。

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