前回に引き続き調剤報酬改定の記事です。今回は地域体制支援加算について書きます。
まずは現在の地域体制支援加算について確認しておきましょう。
地域体制支援加算は調剤基本料に対する加算であり、厚生労働大臣が定める施設基準に適合している保険薬局において算定されます。調剤基本料に38点が加算されます。
地域体制支援加算を算定するための施設基準は調剤基本料1と1以外で異なっています。
調剤基本料1における施設基準は以下のようになっています。
・地域医療に貢献する体制を有することを示す十分な実績を有すること
⇒直近1年に下記の①~③は必須。④又は⑤を満たすこと。
①麻薬小売業の免許の取得
②在宅患者に関する薬学的管理・指導の実績:12回以上
③かかりつけ薬剤師指導料・かかりつけ薬剤師包括管理料の届け出。
④服薬情報等提供料の実績:12回以上
⑤認定薬剤師が地域の多職種連携会議に出席:1回以上
調剤基本料1以外における施設基準は以下のようになっています。
・地域医療に貢献する体制を有することを示す相当な実績を有すること。
⇒直近1年に下記の①~⑨のうち8個以上。①~⑧は常勤薬剤師1人当たり。⑨は薬局当たり。
①夜間・休日等の対応実績:400回以上
②調剤料の麻薬加算算定回数:10回以上
③重複投薬・相互作用等防止加算等の実績:40回以上
④かかりつけ薬剤師指導料等の実績
⑤外来服薬支援料の実績:12回以上
⑥服用薬剤調整支援料の実績:1回以上
⑦単一建物診療患者が1人の場合の在宅薬剤管理の実績:12回以上
⑧服薬情報等提供料の実績:60回以上
⑨認定薬剤師が地域の多職種連携会議に出席:5回以上
上記を見て分かると思いますが、調剤基本料1では意外に簡単に取れます。しかし調剤基本料1以外ではほぼ無理ゲーに近い基準です。特に①~⑧が「常勤薬剤師1人当たり」となっているのがハードルを上げていますね。実際に調剤基本料1以外の薬局で地域体制支援加算が算定できた薬局をほとんど知りません。なお調剤基本料1、1以外の共通の施設基準は以下のようになっています。
しかし今回の改定により地域体制支援加算は以前に比べて算定しやすくなります。調剤基本料1と1以外で施設基準がことなるのは変わりませんので、それぞれについて見てみましょう。
調剤基本料1における施設基準は以下のようになっています。
・地域医療に貢献する体制を有することを示す十分な実績を有すること
⇒直近1年に下記の①~③は必須。④又は⑤を満たすこと。
在宅の実績が年12回から24回に上げられました。しかし月に2回在宅を実施すればいいだけなので、難しいことではありません。そして上記の要件を満たすと地域体制支援加算1として39点が加算されます。
さらに地域体制支援加算1の要件に加えて、今回改定された「相当な実績」を3つクリアすると、地域体制支援加算2となり、47点が加算になります。
「相当な実績」についても今回の改定により、一部が変更になります。単一建物診療患者が1人の場合の在宅薬剤管理の実績が12回から24回に上げられました。そして「薬剤師1人当たりの実績」から「処方箋受付回数1万回当たりの実績」に変更になります。
この「処方箋受付回数1万回当たりの実績」により大分取りやすくなります。「薬剤師1人当たり」にすると、ほぼ全員が相当の仕事ができないと難しいです。実際には薬剤師の力量はかなり差があるので、人数の多い薬局では誰かが足を引っ張ると無理でしょう。
今回の改定により小規模薬局が算定しやすくなります。1ヶ月の処方箋受付回数が1000回未満の薬局なら、1,2人の薬剤師が頑張れば簡単でしょう。
続いて調剤基本料1以外の施設基準について見てみましょう。
調剤基本料1以外における施設基準は以下のようになっています。
・地域医療に貢献する体制を有することを示す相当な実績を有すること
⇒④、⑦を含む3項目を満たしていること
・麻薬小売業者の免許を有すること
上記を満たした場合は地域体制支援加算3として17点が加算されます。
また「相当な実績」を8項目満たした場合は、地域体制支援加算4として39点が加算されます。
今までは調剤基本料1以外の薬局で地域体制支援加算をとるのは無理ゲーに近かったですが、今回の改定によりかなり緩和されました。地域体制支援加算3なら結構とれる薬局が多いのではないでしょうか?「相当な実績」リストを3つでよいです。ただしかかりつけ薬剤師と在宅は必須なので、実質「かかりつけ薬剤師+在宅+その他」ですね。
地域体制支援加算を表にまとめると以下のようになります。
前回の記事で書いたように、かなりの大規模グループ薬局が調剤基本料1から調剤基本料3のハに移行します。そのため今まで調剤基本料1で地域体制支援加算を算定していた薬局は、地域体制支援加算が取りにくくなります。しかし調剤基本料1以外の薬局は地域体制支援加算を算定するのが極めて困難でしたが、今回の改定により大分取りやすくなります。全体でみると、かなりの薬局が今までの地域体制支援加算38点から、今回の地域体制支援加算3の17点に変わるでしょう。
しかし改定後も調剤基本料1の薬局は地域体制支援加算2の47点が取りやすいです。「相当な実績」を3項目クリアは難しくありません。
全国レベルで見ると、地域体制支援加算の算定点数は今までより少し上がるのでは?と思っています。「モノからヒトへ」とずっと言われ続けているように、対人加算はそれなりに優遇される方向です。これからますます対人業務の充実が、薬局の生き残る術になっていきますね。
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