電子処方箋について

調剤業務

先日来年からの電子処方箋の運用開始に伴って、HPKIカードの申請を行いました。電子処方箋の話は聞いていましたが、もうあと3ヶ月もすれば運用が開始してしまいます。時代のオンライン化の流れは非常に早いです。今回の記事で電子処方箋について説明します。電子処方箋について予習してもらい、来年からの運用が円滑に行えると嬉しいです。


電子処方箋は医療機関がクラウド(オンライン資格確認システム)上に処方箋を登録するものです。
オンライン資格確認システムには他の医療機関の処方情報や、過去の調剤情報が薬剤情報として登録されていますので、医療機関は処方時に他医療機関での処方情報、調剤情報が閲覧可能です(過去3年分まで閲覧できます)。これにより処方時に重複投薬・相互作用のチェックが可能となります。

電子処方箋を登録すると電子処方箋管理サービスからアクセスコード確認番号が交付されます。
このアクセスコードで電子処方箋管理サービスへログインし電子処方箋の要求が可能となり、確認番号で患者本人または代理人であることを確認します。
※確認番号は患者確認のためのものなので、保険証やマイナンバーカードで確認しても問題ないとされています。

患者はアクセスコードと確認番号を薬局に提示します。
薬局はアクセスコードと確認番号をもとに電子処方箋管理サービスに電子処方箋を要求します。すると電子処方箋が薬局に送信され、これをもとに薬局は調剤を行います。
また薬局からも薬剤情報が確認できるので、ここでも重複投薬・相互作用のチェックが可能となります。


電子処方箋管理サービス上の電子処方箋は薬局に送信すると、電子処方箋は「調剤中」の状態になります。そして調剤、服薬指導、薬剤交付まで終了すると、薬局は調剤結果を作成して、アクセスコードと一緒に電子処方箋管理サービスに送信します。これにより電子処方箋は「調剤済み電子処方箋」となります。

なお電子処方箋管理サービス上の電子処方箋は処方日から4日を過ぎた時点で無効となり、取り出し禁止になります。(別途使用期限が定められているものについては、その日まで有効です)
この辺は紙の処方箋と一緒ですね。基本的に4日以内に調剤済にしないといけません。

また患者が電子処方箋管理サービスと連携する電子お薬手帳を利用していて、電子お薬手帳への薬剤情報の登録を希望する場合、薬局は薬剤情報を電子お薬手帳に登録するように、電子処方箋管理サービスに依頼することになります。これにより患者自身が電子お薬手帳を利用して、薬剤情報が閲覧できるようになります。
※電子お薬手帳と電子処方箋管理サービスの連携の方法はまだ具体的に決まっていません。



ここまでの説明で電子処方箋の概要は分かりましたでしょうか?
簡単にまとめると処方箋や薬剤情報をグラウトにまとめ、病院、薬局、患者と多くの人達で情報共有ができるシステムです。メリットをあげると以下のようになります。

・紙のコスト削減
薬局にとってはこれが一番ありがたいかもしれません。調剤済の処方箋を3年間保管するのにはかなりのスペースを要しますし、廃棄の際もコストがかかります。これが無くなるだけでも経営的に助かります。

・処方箋の偽装、再利用の防止
紙と違ってデータがクラウドにあるわけですから、当然偽装は不可能です。また紙のようにコピーして再利用される心配もありません。

・情報の一元管理
今までは他科での処方薬はお薬手帳でしか病院、薬局が把握する術がありませんでした。しかし電子処方箋が実用されると患者が利用した全ての病院、薬局で薬剤情報の把握が可能です。これによりあらゆる病院、薬局で重複投薬・相互作用のチェックが可能となります。
また検査値、病名なども登録できるようになる予定です。どこか1ヶ所の病院で採血などの検査を行えば速やかに共有できるので、医療安全が高まり、また不要な検査も減ることでしょう。病名が分かるようになると薬局としてはありがたいですね。
その他にも何ヶ所も病院を受診して向精神薬を集めるなどといったことも防止できるでしょう。


さて電子処方箋管理サービスですが、便利な反面、情報の漏洩を防止する必要もあります。また処方歴、調剤歴、疑義照会の内容なども記録として残るので、当然誰が行ったかの記録を残し、責任の所在を明確にする必要もあります。
そのため医師、薬剤師ともに電子署名が必要となります。電子署名にHPKIカードというものが必要となります。つまりHPKIカードを持った医師しか電子処方箋を発行できず、HPKIカードを持った薬剤師しか電子処方箋を調剤済にできません。(薬剤情報を閲覧するだけなら不要です)

薬剤師のHPKIカードの申請はこちらで行えます ⇒ 日本薬剤師会認証局
HPKIカードの申請には薬剤師免許証のコピー、免許証などの身分証のコピー、6ヶ月以内の住民票などの書類が必要となります。必要な人は早めに申し込みましょう。


以上の説明で電子処方箋については理解できましたでしょうか?
まだ決まっていないこともあるので、新たに分かったことがあったら、また記事にします。
電子処方箋は来年1月から運用開始です。今までオンライン診療、オンライン服薬指導が解禁されましたが、実際に行っているところは少数でしょう。しかし今回の電子処方箋は多くの病院、薬局で使われると思います。それだけメリットが大きいですからね。またオンライン資格確認も2023年4月から原則義務化されます。来年から医療業界のオンライン化が一気に進みます。時代に取り残されないよう、常に学び続けましょう。

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