フランドルテープの適応外処方 膠原病患者に処方された事例

調剤業務

先日社内のちょっとした勉強会で、他の薬局であった事例を聞きました。フランドルテープの適応外処方の事例です。処方理由に関しては簡単に理解できると思うのですが、詳しく患者背景を見ていく中で学びも沢山あると思います。今回はこの事例を詳しく紹介します。

この患者さんは膠原病の人でした。まず膠原病についておさらいしましょう。
膠原病とは特定の病名ではなく、全身性の自己免疫疾患の一定のものを総称します。
膠原病は全身の結合組織に対する自己免疫疾患であり、これにより結合組織に炎症や変性を起こします。結合組織は皮膚、筋肉、関節、骨といった様々な場所にあるので、これらの箇所の炎症や変性で痛みを伴うことがあります。
膠原病は自己免疫疾患であり、結合組織疾患であり、リウマチ性疾患(筋肉や関節、骨に疼痛を伴う疾患の総称)である病態を指します。

膠原病に分類される疾患には全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、強皮症、ベーチェット病、混合性結合組織病などがありますね。

膠原病についての説明は終わりました。今回の事例の患者さんについて見てみましょう。
この患者さんの処方薬にはベンリスタ®皮下注がありました。これにより病態は全身性エリテマトーデスと分かります。
この患者さんの症状として酷いレイノー症状を併発しているとの事でした。

レイノー症状とは末梢細動脈の寒さに対する収縮が通常より強く生じる疾患であり、この収縮は発作的に生じます。
レイノー症状の特徴としては、細動脈の収縮により手足の指が青白くなります。(時間がたち攣縮がおさまると血流が再び流れ込み、赤くなります)
また血流不足により痺れや痛みを伴うこともあります。もちろん手足も非常に冷たくなります。酷い時は潰瘍を起こすこともあります。
レイノー症状のうち、明らかな原因がないものをレイノー病他の疾患が原因で生じるものをレイノー症候群といいます。

膠原病は結合組織において自己免疫反応が生じており、血管も変性することがあります。そのため血管機能障害を起こすことがあり、これがレイノー症候群の原因となるわけです。
この患者さんの場合は全身性エリテマトーデスを患っているのでレイノー症候群ですね。
この患者さんの容態としては手の指にレイノー症状が生じており、爪も剥がれるほどだったそうです。

レイノー症状の治療としては寒冷刺激を避ける、禁煙をするなどの生活指導がありますが、薬物治療を必要とすることもあります。薬物治療は血管拡張薬を使用します。Ca拮抗薬や抗血小板薬、ACE阻害薬、ARBなどを用いることがあるようです。※いずれも適応外処方です

今回の事例ではフランドル®テープでした。フランドル®テープはご存知のように硝酸イソソルビド製剤であり、狭心症治療薬です。先述した他の薬より強い血管拡張効果が期待でき、また患部に直接貼ることによって速やかな効果が期待できます。投薬時には動悸やめまいがしたら剥がすよう伝えたそうですが、副作用発現時に速やかに取り除けるのも貼付剤の強みですね。

以上他薬局であった事例でした。自己免疫疾患は本当に大変ですね。全身症状が生じることが多く、治療薬も高価で、治療期間も長期にわたります。早く画期的な治療法ができて欲しいものです。

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