手足口病・ヘルパンギーナ

疾病・病態

もう夏ですね。夏になり手足口病の患者さんが多くなりました。うちの子供も昔、手足口病にかかり苦労しました。そして手足口病と似た症状の風邪にヘルパンギーナがあります。
※手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜炎熱(プール熱)は夏の3大感染症といいます
この2つの疾患は、小児科の処方を受け付けている薬局では頻繁にみるかもしれませんが、小児科の処方が少ないところではついつい勉強不足になりがちです。今回の記事で手足口病とヘルパンギーナについて確認しますので、時々見直して頂けると幸いです。

まず原因となるウイルスについて知りましょう。
手足口病とヘルパンギーナは両方ともエンテロウイルス属による感染症です。
エンテロウイルス属はノンエンべロープの一本鎖RNAウイルスです。エンテロウイルス属の主なウイルスはポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルスなどがあります。
ここで注意したいのはノンエンベロープウイルスだということです。エンベロープを持たないウイルスは、カプシドがエンベロープで覆われていない代わりにアルコールで分解されにくく、抵抗性を持ちます。

詳しくは過去記事を参照 ⇒ アルコール除菌 使うなら酸性でしょ

手足口病
主にコクサッキーウイルスA10型・A16型、エンテロウイルス71型が原因となります。
主に掌、足の裏、口腔内に水疱ができます。それ以外にも肘や膝、口の周り、臀部にも水疱ができることがあります。発熱も伴いますが38℃以下であることが多く、数日で解熱することが多いです。

ヘルパンギーナ
主にコクサッキーウイルスA群が原因となります。
急な発熱と咽頭痛が主な症状です。手足口病に比べて喉の奥の方に水疱ができ、水疱が破れて潰瘍になることもあります。熱は39~40℃と高く、水疱は喉や口腔内に限られ、手足には生じません


手足口病とヘルパンギーナの違いは分かったでしょうか?
次に共通点をみていきます。手足口病もヘルパンギーナもどちらも小児に多く、ほとんどが4歳以下の子供が発症します(大人が感染することもあります)。また流行に季節性があり、夏場に最も多くなります(秋にかけて徐々に減っていきます)。
そしてワクチンや治療薬はなく、対象療養で自然回復するのを待つしかありません。

ここで主な薬物療養を見てみましょう。
まず解熱に対して解熱鎮痛剤が用いられます。ほとんどの患者が小児なので、カロナール®細粒やシロップですね。
どちらもウイルスなので抗生物質は効きません。しかし細菌による2次感染の防止の意味で、抗生物質が処方されることもあります。
皮膚の水疱にはステロイドは基本的に用いません。ステロイドに免疫抑制作用があるからですね。最も多く用いられるのがカチリ®です。カチリ®フェノールは殺菌消毒作用と鎮痒作用を有し、亜鉛華(酸化亜鉛)は皮膚の収斂、消炎、保護作用を有するからですね。

次に感染経路と予防法を見ておきましょう。
どちらも感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染です。また前述したようにノンエンベロープウイルスなので、アルコールが効きにくいです。これらの事を考慮すると、最も有効な予防法としてはうがい、手洗いの徹底に限ります。またタオルを介しての感染もあるため、タオルの共用は避けましょう。
患者の便が付着した下着、タオルなどは次亜塩素酸ナトリウムによるつけ洗いが有効です。

またアルコールを使う場合は酸性アルコールを用いるようにしましょう。これならノンエンベロープウイルスにも多少の効果はあります。

手足口病もヘルパンギーナも学校保健安全法上における出席停止期間は設けられていません。
※ただし学校で流行が起こった場合、必要に応じ学校長が学校医の意見を聞き、出席停止措置をとれます
エンテロウイルス属は感染後、回復しても1~2週間は呼吸器から、2~4週は便にウイルスが排出されます。そのため登校、登園しても咳エチケットはキチンと守り、またトイレに行った後は手洗いを徹底させるべきでしょう。

以上で手足口病とヘルパンギーナについて分かりましたでしょうか?
夏になると特に子供の疾患が増えてきます。代表的な疾患についてはある程度知っておきましょう。患者さんから聞かれたときに的確に答えられ、またご自身やお子さんの予防にも繋がります。

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