間質性肺炎

肺炎

2020年9月から投薬後の患者のフォローアップが義務化されていますが、実際はまだまだみんな手探り状態だと思います。そもそもフォローアップで何をするかも人によって違いますが、その中でも副作用が起きていないかの確認は大切だと思います。

つまり患者の訴えから疾病に気づいてあげらることが求められていると考えています。そのため今後も疾病について情報発信をしていきたいと思います。今回は様々な薬の副作用で起きる、間質性肺炎について書いてみます。
間質性肺炎とは肺間質における炎症や線維化が原因で引き起こされる肺炎です。
感染症や薬物、タバコ、粉塵などにより肺胞上皮細胞が傷害を起こし、それが繰り返されることによって間質に炎症が広がり、線維化を起こします。(線維化は不可逆性です)
間質が線維化を起こすと肺が十分に膨らまなくなり、呼吸困難を起こします。
間質性肺炎2
間質性肺炎
間質性肺炎は原因不明なものを特発性間質性肺炎と呼び、代表的なものに特発性肺線維症(以下IPF)があります。
IPFは慢性経過により肺胞隔壁の肥厚、線維化、蜂巣形成を特徴とする進行性の予後不良の疾患です。
CTを撮ると両方の肺底部に蜂巣肺が見られます。
⇒蜂の巣のようにみえるのでそう呼ばれています。線維化した箇所が白く映るためみたいです。詳しい画像は「蜂巣肺」と検索すれば沢山出てきます。
聴診器で肺の音を聞くと捻髪音(ねんぱつおん)が聞こえます。
⇒パチパチとした音です。肺胞隔壁の肥厚で広がりにくくなった肺が、正常な肺胞が広がった後に一気に広がります。その時に生じる音です。
IPFの治療としては現在2剤あります。
・ニンテダニブエタンスルホン酸塩(オフェブカプセル®
線維化に関与する増殖因子受容体(PDGFR、FGFR、VEGFR)のチロシンキナーゼを阻害する分子標的薬。肝機能障害の副作用があるため、定期的な肝機能検査が必要。
・ピルフェニドン(ピレスパ錠®
線維化に関与する増殖因子(TGF-β1、b-FGF、PDGF)の産生を抑制する。光線過敏症に注意。
一方で原因が分かっているものを続発性間質性肺炎と呼び、薬剤師が最も注視すべきなのが薬剤性間質性肺炎です。
投与した薬物が直接肺を傷つけるものや、投与された薬物が原因で免疫細胞が活性化(大量のサイトカインの放出)し、肺胞や間質に炎症を起こし生じるものがあります。
薬物によるアレルギー反応で生じることがあるため、全ての薬物で間質性肺炎を起こす可能性がありますが、代表的なものは把握しておく必要があります。
・抗がん剤 
・抗リウマチ薬(主にメトトレキサート、金製剤)
・インターフェロン製剤
・小柴胡湯 
 ※小柴胡湯とインターフェロンαは併用禁忌(間質性肺炎のリスクが上昇)
・抗生物質(主にβラクタム系、テトラサイクリン系)
・NSAIDs
・抗不整脈薬(主にアミオダロン)
薬物性間質性肺炎の症状としては息切れ、呼吸困難、空咳、発熱があります。
比較的わかりやすい症状なので、ぜひ覚えておいて下さい。
薬物性間質性肺炎の治療はまずは原因となる薬物の中止です。
場合によってはステロイドを用いることもあります。(メチルプレドニゾロンのパルス療法)
薬物性間質性肺炎は薬物の投与中だけでなく、投与後しばらくしてから起きることもあります。
投薬後の間質性肺炎を起こしやすい薬剤を服用中の患者さんには、フォローアップの際に息切れや空咳、発熱がないかなどを聞いてあげることで、早期発見につながるでしょう。
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