レストレッグス症候群

レストレッグス症候群
当薬局は神経内科の門前ではないのですが、たまにレストレッグス症候群で神経内科の処方箋を持ち込む人もいます。あまり来ない処方箋の薬や疾患を勉強することは薬剤師としての見聞を広げるのに大切だと思います。そのため今回はレストレッグス症候群について書こうと思います。

レストレッグス症候群は「下肢静止不能症候群」「むずむず脚症候群」とも呼ばれます。

脚がムズムズする、虫が這っているような感じがするなどの感覚を伴い、脚を動かさなくてはいられない衝動にかられます。夕方から夜間にかけて症状が出現し、特に安静時に症状が悪化します。脚を動かすことで症状が緩和します。夜間に症状が出現するため、入眠が困難になったり中途覚醒の原因にもなります。
疾患の詳しいメカニズムは不明ですが、ドパミン作動性神経の障害が関与されるとされています。
⇒中枢ではドパミン作動性神経は運動に対して抑制的に作用する。(コリン作動性神経が運動に関して促進的に作用する。パーキンソン病と同じですね)
現在以下の3つの薬にレストレッグス症候群の適応があります。
プラミペキソール(ビ・シフロール®
ドパミンD2受容体刺激薬。原因となるドパミン作動性神経を刺激する。
ロチゴチン(ニュープロ®
プラミペキソールと作用機序は一緒。貼付剤。規格は2.25㎎、4.5㎎、9㎎、13.5㎎、18㎎とあるが、レストレッグス症候群に用いるのは2.25㎎、4.5㎎のみ。
ガパペンチン エナカルビル(レグナイド®
ガバペンチンのプロドラッグであり、肝臓で代謝されガパペンチンになる。グルタミン酸作動性神経のシナプス前膜のCaチャネルを抑制し、グルタミン酸の分泌を抑制する。またGABA作動性神経のシナプス前膜のGABAトランスポーターを活性化し、GABAの再利用を促進。結果としてGABA作動性神経の活性化。⇒脳内の興奮性神経の抑制。
また適応外処方ですが、クロナゼパム(リボトリール®、ランドセン®)を用いることもあります。
レストレッグス症候群は原因不明の特発性の他に、他の原因によって生じる2次性のものもあります。
・鉄欠乏によるもの
ドパミンの産生にチロシンオキシダーゼが必要だが、チロシンオキシダーゼの活性化に鉄が必要である。妊婦は鉄分が不足しやすいので、レストレッグス症候群を起こしやすい。
・ビタミンDの不足によるもの
レストレッグス症候群の患者にビタミンDを摂取したら症状が改善されたとの報告がある。詳しいメカニズムは不明。ドパミンの産生にビタミンDが関与していると考えられている。腎不全患者ではビタミンDの活性化が抑制されるので、レストレッグス症候群が起きやすい。
レストレッグス症候群はカフェインやアルコールの摂取で症状が悪化したり、不規則な生活習慣も良くないとされています。また就寝前のストレッチは症状の発現を抑制すると言われています。
薬物治療だけでなく、主治医から適切なアドバイスをもらって非薬物療法も実践しましょう。
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