血管性認知症

疾病・病態

認知症と言ったらほとんどの人が思い浮かべるのがアルツハイマー型認知症だと思います。少々詳しい人ならレビー小体型認知症まで出てくると思います。

でも実際は認知症で最も多いのはアルツハイマー型認知症ですが、次に多いのは血管性認知症です。今回は血管性認知症について書いてみたいと思います。

血管性認知症は脳血管障害によっておこる認知症です。(脳血管障害は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などがあります)
脳血管の梗塞や、脳内での出血によって、その部位の脳機能が障害を受けます。そのためアルツハイマー型認知症に比べて症状が急激に起こることが多いのが特徴です。
脳血管の梗塞や出血の部位によって症状が異なるので、人によって症状は様々です。
感情障害としては記憶障害や判断力の低下、抑うつ、せん妄などがあり、また運動野で障害が起きた場合は尿失禁、パーキンソニズムが起きることもあります。
血管障害が起きた部位によって症状が異なるので「まだら認知症」などと呼ばれることもあります。
また脳梗塞や脳出血を繰り返すと、障害部位が増えるため、認知機能が段階的に悪化することになります。

最大の原因は高血圧によるものです。(脳出血は8割以上が高血圧による脳動脈の破裂が原因であり、脳梗塞も高血圧に脂質異常症、糖尿病などの因子が重なることによって生じます)脳血管の血流によって症状が変動するため、日内変動や日間変動が見られます。

治療としては脳梗塞の急性期なら血栓溶解療法などを用いますが、それ以外のケースではほとんどが再発防止を目的とした血圧コントロール、抗血小板薬の使用がメインとなります。

今回この記事を書いたのは、昨日私の母が脳梗塞で入院したためです。一緒に住んでいる父がどうも母の様子がおかしく、急に認知症症状が出たため心配し、病院を受診させたところ大学病院に紹介状を書かれ、その後入院することになりました。
私も連絡を受け翌日には面会に行けたのですが、幸いなことに家族の記憶や、孫の事は覚えているようでした。しかし最近の記憶はあいまいであり、また気分の落ち込みも見られました。
血管性認知症はアルツハイマー型認知症に比べて一般的に症状は軽いことが多く、すぐに危険因子を取り除けば症状の進行が止まったり、改善することがあります。
しかし母の場合は心不全も併発しているので、まずはそちらの治療が先になるらしく、血管認知症の治療は少し後になります。それでも血圧コントロールがキチンとされれば心負荷の軽減、血管認知症の再発防止につながるはずです。とにかく今は早く元気になって欲しいです。そして孫たちと沢山遊んで楽しい時間を過ごさせてあげられたらと思います。

血圧コントロールは循環器疾患だけでなく、脳疾患の原因にもなります。血圧コントロールはあらゆる疾患の予防に必要なことだと思います。血圧は毎日測って異常があったらすぐに受診するよう皆様も気を付けて下さい。

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