便秘薬はOTCが結構有能

OTC・衛生用品

明けましておめでとうございます。今年の初めの記事は久しぶりにOTCの紹介になります。
私の周りの女性で便秘がちな人も多く、よく便秘だけど病院に行った方がいいかと聞かれます。病院に行くのは間違っていませんが、近ごろのOTCの便秘薬は結構中身がよく、ある意味医療用より優れているところもあります。私のおススメのOTCはウィズワンエルなので、今回の記事ではウィズワンエルの紹介をしつつ、内容を吟味していきます。

まず初めにウィズワンエルの有効成分は以下のようになっています。

これらを1つ1つ見てみましょう。

・プランタゴ・オバタ種皮末
これは植物性食物繊維であり、水分を含むと数十倍に膨張します。腸管内で膨張することで腸を物理的に刺激し、排便を促します。作用的には膨張性下剤に分類されますね。
(医療用の膨張性下剤はカルメロースナトリウム(バルコーゼ®)があります。プランタゴ・オバタ種皮末はOTCでのみ使われます)
特徴としては排便時の下腹部痛や耐性や習慣性がなく、長期的に使いやすい点があげられます。欠点としては効果が緩徐なことです。

・センノシド
センノシドは医療用でも用いられているので皆さんご存知でしょう。プルセニド®のことです。センノシドは大腸で腸内細菌によってレインアンスロンになり、これが大腸を刺激します。作用的には大腸刺激性下剤ですね。効果が強いというメリットがありますが、直接腸を動かすので腹痛を伴うというデメリットもあります。
また長期間使用することで大腸刺激性下剤に対する耐性ができてしまうこともあります。大腸刺激性下剤は大腸の腸管神経叢を刺激して蠕動運動を起こしているのですが、長期使用により腸管神経叢が障害を受け、自律蠕動能が低下することが原因です。(自律蠕動能の低下による便秘を弛緩性便秘といいます)

・有胞子性乳酸菌
バチルス属の乳酸菌であり、胞子を形成する乳酸菌です。乳酸菌が胞子を生み出し、この胞子は酸や熱に強いという特徴があります。この胞子が胃酸で失活せずに生きたまま腸に届き、腸で発芽し乳酸を産生します。この乳酸によって腸内が酸性になり悪玉菌の増殖を抑え、さらに免疫細胞を活性化します。

・ニコチン酸アミド
ナイアシンアミドビタミンB3とも呼ばれ、皮膚・粘膜を正常に保つ働き、血流促進作用をもちます。そのため肌荒れやニキビの防止、肉体疲労時の滋養強壮に用いられます。OTCでは滋養強壮ドリンク、しみ・そばかす・肌荒れなどに用いるビタミンB剤、C剤に配合されています。医療用ではメニエール病や冷えや凍傷などの末梢循環障害にも用います。
その他にもニコチン酸アミドは乳酸菌の繁殖を助ける働きもあります。前述した有胞子性乳酸菌の繁殖を促進するのに有効です。

ここまででウィズワンエルの有効成分の働きが分かりました。続いてこの組み合わせについて考察しましょう。
ウィズワンエルの効能効果、用法・用量は以下のようになっています。

成人量として1回1包、1日3回でセンノシドが48mgです。プルセニド®錠が4錠に相当します。1回当たりプルセニド®錠1.3錠といったところです。やや少なめといったところでしょう。
しかし膨張性下剤であるプランタゴ・オバタ種皮末を含有することで効果が増強されています。そのためセンノシドの量は少なくてもすみ、耐性を起こしにくくさせています。

便秘を改善したあとに再び便秘になりにくくするために乳酸菌は有効です。有胞子性乳酸菌は服用後約2週間で体外に排泄されます。1回の服用でそれなりの期間、効果が持続します。

ニコチン酸アミドは乳酸菌の繁殖を促進するだけでなく、皮膚・粘膜を正常に保つ働きがあります。そのため便秘による肌荒れ、吹き出物にも効果があります。また血流促進作用により頭重感、のぼせにも有効です。

以上のように大腸刺激性下剤が少なめであること、耐性や習慣性のない膨張性下剤を含んでいること、その他便秘に伴う諸症状にも有効であることからして、OTCの便秘薬は優れていると思います。なおコーラックなどビサコジルを含有した商品は個人的にはあまり好きではありません。ビサコジルはセンノシドに比べて効果が強く、その分腹痛や耐性等を生じやすい傾向があります。できれば センノシド+膨張性下剤or塩類下剤or漢方 などの組み合わせがいいと思います。これに有胞子性乳酸菌があれがなお良いでしょう。
ウィズワンエル以外にもおススメのOTCをいくつか紹介しておきます。

※アロエエキスはセンノシドと同様の大腸刺激性下剤です。その他にも界面活性作用があり、便を軟化される効果もあるとされています。

今回の記事ではOTCの便秘薬を紹介させてもらいました。1つ気を付けてもらいたいのは、大腸刺激性下剤を含んでいる以上はあくまで便秘時の頓服として使うことです。慢性的に使えば耐性や習慣性が起きる可能性は大です。慢性的な便秘の場合は病院でマグミット®などの塩類下剤を処方してもらうべきでしょう。あくまで一時的な便秘を解消するのにあたって、OTCの便秘薬を上手く活用してもらえればと思います。

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