腎機能の検査値② クレアチニンクリアランス

臨床検査値
前回の記事の続きで今回はクレアチニンクリアランスについて書きます。
クリアランスとは腎臓が糸球体で血液をろ過して尿を作り出す機能の事です。
特定の物質を1分間に腎臓から尿中に排出されるのに必要な血漿量で示されます。

前回の記事で説明したクレアチニンがどのくらい尿中に排出されるかを測定したものをクレアチニンクリアランスといいます。

クレアチニンクリアランスの測定方法
・24時間蓄尿
特定の時間に完全排尿し、その後24時間後までの尿を蓄尿。その中にどの程度クレアチニンが排出されているかを測定する。
・2時間蓄尿
特定の時間に排尿し、その後飲水する。飲水後60分後に排尿させ、完全に排尿が終わった時間を記録し、ここから測定を開始する。
開始30分後に採血し血清クレアチニン値を測定する。
開始1時間後に完全排尿し、尿量と時刻を測定する。(1回法)
さらに正確に測定する場合は開始1時間半後に採血し、開始2時間後に採尿を行い、1回目と2回目の平均値を測定する。(2回法)

このように採尿、採血を行うことによってクレアチニンクリアランスを測定することが可能です。
Cc r= Ucr × V / Cr
Ccr:クレアチニンクリアランス(mL/min)  Ucr:尿中クレアチニン濃度(mg/dL)
V:尿量(mL/min)  Cr:血清クレアチニン濃度(mg/dL)

しかしクレアチニンクリアランスの実測は手間もかかり患者にかける負担も大きいので、実際の現場では血清クレアチニン値からクレアチニンクリアランスを推定して用いることが多いです。

Cockcroft-Gault式
男性:Ccr=(140-年齢)×体重(kg)/72×Cr
女性:男性値 × 0.85

このように血清クレアチニン値を測定することによりおおよそのクレアチニンクリアランスを求めることが可能です。

Ccrの基準値:100~120(mL/min)

添付文書上では薬用量の調節にはクレアチニンクリアランスの値で判断しているものが多いです。
GFRは糸球体でのろ過能力のみを表しているのに対し、Ccrは糸球体でのろ過に加えて尿細管での分泌や再吸収も多少加味されているからと思います。(クレアチンは多少は尿細管で分泌される)

Ccrによる薬用量の変化
プラザキサ:通常は1回150㎎ 30≦Ccr≦50 では1回110㎎。 Ccr<30では禁忌。
イグザレルト:通常は1回15㎎ 30≦Ccr≦49 では1回10㎎。 Ccr≦15では禁忌。
    (深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療および再発抑制ではCcr<30で禁忌)
リフレックス:通常は1回15~30㎎ 15≦Ccr<60 では2/3に減量
       Ccr<15 では1/2に減量     透析では1/2以下に減量  

ほかにもまだまだありますが、今後添付文書を読み解くときに腎機能の指標として何を用いているか、すぐに理解できるようになれば幸いです。 今後は他の検査値の解説や、腎機能の評価にどの指標を用いるべきかなどについて書いていこうと思います。

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