最近脂質異常症治療薬の中でパルモディアの使用頻度が増加しています。
昨年、販売後1年がたち長期処方が可能になったためと思われますが、脂質異常症治療、特に高TG血症の治療薬としての活躍が期待されているようです。
今回はパルモディアについて少し掘り下げていきます。
パルモディアの有効成分、ぺマフィブラートは選択的PPARαモジュレーターと呼ばれています。
これに対し従来のベザフィブラートやフェノフィブラートはPPARαアゴニストと呼ばれています。
簡単に言うとPPARαに選択的に作用するため効果が高いといったところです。従来のフィブラート系と同様にPPARαと結合し、リガンドと受容体の複合体がDNAに作用し、転写を調節するわけですが、ぺマフィブラートはPPARαに特異的な立体構造の変化を起こします。これによりリポ蛋白リパーゼ、肝性リパーといった脂質代謝に必要な因子の転写を選択的に調節することによって、より高い効果を示し、また安全性も高いとされています。
またHDLコレステロールの増加作用も併せもちます。(これは従来のフィブラート系も一緒です)
一方でデメリットも当然あります。
①併用禁忌がある
他のフィブラート系薬物は併用禁忌はありませんが、ぺマフィブラートはリファンピシン、シクロスポリンとの併用が禁忌です。
②定期的な腎機能、肝機能検査が必要になる
ぺマフィブラートは安全性が高いと言われていますが血清クレアチニン値が2.5㎎/dL以上では使用が禁忌です。
(フェノフィブラートも同じ。ベザフィブラートは血清クレアチニン値が2.0mg/dL以上で禁忌)
腎機能に対する安全性ではベザフィブラートの方が上じゃね?との印象があります。
しかしぺマフィブラートは尿中未変化体排泄率が0.47%以下(今日の治療薬に載っています)であり、ほとんどが肝代謝⇒糞中排泄となります。そのため腎機能への影響は少なめです。
しかし裏を返せば肝機能低下の患者には代謝が困難になるのは納得できます。一方興和薬品はぺマフィブラートは肝機能改善作用を認めるとの見解を示しています。
肝機能に関しては実際どうなのよと言われると、まだハッキリした答えが出せません。まだまだ使用経験の少ない成分なので、腎機能、肝機能に関しては定期的な検査をして様子を見てねといった意味で定期的に検査が必要なのでしょうか?
③相互作用(併用注意)が多い
ぺマフィブラートは肝代謝型でありCYP2C8,CYP2C9,CYP3A4で代謝されます。当然cytochrome P450で代謝される薬物との併用で、代謝拮抗が起こるのは容易に想像できます。
以上ぺマフィブラートについて書いてみました。デメリットもありますが、実際TG低下作用、HDLコレステロール増加作用は従来のフィブラート系に比べてかなり効果が高いのは事実です。
今後も使用量が増えていき、高TG血症の第一選択薬になるでしょう。
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