ヒヤリ・ハット分析 膣カンジダにOTCの販売回避

バツ
公益財団法人日本医療機能評価機構の薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の事例でOTC販売に関するものがありました。調剤薬局に勤務している人はOTCに触れる数が少ないと思います。いい機会なので今回この事例を取り上げますので、疾患とOTCについての知識の底上げに活用して下さい。

【事例の詳細】
メンソレータムフレディCC膣錠を販売する際、以前にも同じ来局者に同薬を販売していたことに気付いた。購入頻度を確認したところ、頻回にメンソレータムフレディCC膣錠を購入していることがわかった。前回の販売から6か月が経過していないことから、販売を中止し、医療機関を受診し相談するよう説明した。
【背景・要因】
今回は購入者に確認して把握できたが、今まで当薬局では購入者ごとに販売履歴を管理していなかったためメンソレータムフレディCC膣錠の購入頻度を把握できていなかった。
まず膣カンジダについて確認しましょう。
カンジダは体に常在する真菌であり、皮膚、消化管、口腔粘膜、膣粘膜など様々な場所に存在します。通常時は特に何も起きませんが、体の免疫力が落ちた時や抗生物資による菌交代現状が起きた時に感染症を起こします。
カンジダ症の主な原因
・疲労、ストレス、風邪などによる免疫の低下
・抗生物質の使用
・HIV、癌、糖尿病などによる免疫の低下
・妊娠などホルモンバランスの変化
膣カンジダの代表的な症状
膣、外陰部およびその周辺の痒み
酒粕状、粥状、ヨーグルト状、白色のおりもの
・排尿痛、性交痛
・膣、外陰部の痛み
今回のヒヤリ・ハットの対象となったメンソレータムフレディCC1膣錠について見てみましょう。
メンソレータムフレディCC1膣錠は有効成分がイソコナゾールの第1類医薬品です。効能効果は「膣カンジダの再発(以前に医師から、膣カンジダの診断・治療を受けたことのある人に限る)」とされています。つまり初めて膣カンジダを治療するのには用いられません。同一成分で医療用のアデスタン®膣用は初めての膣カンジダの治療に使えます。OTCになると再発に限定しているのは、日本OTC医薬品協会が以下の見解を出しています。
Q:なぜ再発した人にしか使用できないのですか?
A:初めて膣カンジダが疑われた場合、その症状が膣カンジダなのかどうか自己判断が出来ないため、婦人科または産婦人科等による確定診断が必要です。本剤を使用せず、必ず医師の診察を受けてください。なお、2度目からは同様の症状が出ますので、すぐに自己診断できると思われます
添付文書の用法・用量の箇所は以下のように記載されています。
「成人は1回以上(できれば就寝前)ただし3日間経過しても症状の改善が見られないか、6日間経過しても症状が消失しない場合は医師の診察を受けて下さい
つまりこれだけ使っても変わらないなら膣カンジダでない可能性が高いので医師の診察を受けた方がいいということでしょう。
※同一成分で医療用のアデスタン®膣用は1日1回、1週間使用します。
添付文書の次の人は使用しないでください」に以下の項目があります。
膣カンジダの再発を繰り返している人
(2ヶ月以内に1回又は6ヶ月以内に2回以上)
短期間に繰り返し再発する場合は、糖尿病など他の疾患の可能性も考えられる
初めに書いたように、膣カンジダは主に免疫の低下によって生じます。
もし頻繁に繰り返すなら免疫を下げる何らかの原因がある可能性が大です。その場合はまず原因となる疾患の治療をすることが先決というわけですね。
ついでにメンソレータムフレディCC1膣錠以外の膣カンジダ治療薬を紹介しておきます。なるべく多くの薬を知って見解が広がってくれると嬉しいです。
・エンペシドL膣錠
 エンペシド®膣用のOTCです。有効成分はクロトリマゾール。
・メディトリート膣坐剤
 フロリード®膣用のOTCです。有効成分はミコナゾール。
・フェミニーナ膣カンジダ錠
 オキナゾール®膣用のOTCです。有効成分はオキシコナゾール。
※メンソレータムフレディCC、エンペシド、メディトリートには膣錠以外にクリームもあります。いずれも膣カンジダの再発による痒みに使用します。
今回のケースでは薬剤師がメンソレータムフレディCC1膣錠の添付文書をよく読んでいて、さらに購入者が過去にも買っていたことに気付いたため回避できた良い事例ですね。調剤薬局の場合、患者さんは定期的にくる人が多く、顔も名前も覚えていることがほとんどです。一方ドラックストアの場合、不特定多数の人を相手にし、名前も分からないケースが圧倒的に多いです。要指導医薬品や第1類医薬品は販売記録を取りますが、頻繁に来るような人でなければ相手の顔や名前を覚えるのも困難だと思います。要指導医薬品や第1類医薬品を販売する時は、過去の販売記録に同じ人が何回も記載されていないかなどのチェックが必要だと気付かれされる事例でした。
記事が良かったと思ったら、ランキングの応援お願いします。

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へにほんブログ村 ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

0

コメント

タイトルとURLをコピーしました