セロトニン症候群

疾病・病態

前回の記事でセロトニンの作用について確認するとともに、セロトニンによる副作用についても書きました。その中でセロトニンによる副作用で重篤なものとして知られる、セロトニン症候群について知ってほしいと思います。

セロトニン症候群はセロトニン受容体(主に5-HT1受容体)の過剰刺激により起こされる症状で、精神症状、錐体外路症状、自律神経症状を主な特徴とします。

精神症状:不安、混乱、イライラ、意識障害
錐体外路症状:振戦、ミオクローヌス、反射亢進
※ミオクローヌス 不随意運動の一種で突発的な瞬間の筋収縮
自律神経失調症:発熱、発汗、頻脈、下痢

薬物が原因で引き起こされることが多く、服用後数時間以内と比較的早い時期に出ることが多いです。原因となる薬物を中止すれば24時間以内に消失することが多いとされています。セロトニン受容体の過剰な刺激によって生じるので、抗うつ薬が原因となることが多く、特にSSRIが原因となることが最も多いとされています。その次に多いのがMAO阻害薬です。

その他にもセロトニン5-HT1B/1D受容体を刺激するトリプタン系薬物、セロトニン作動性神経である下行性痛覚抑制ニューロンを賦活するオピオイド系薬物、セントジョーンズワートなどがあります。
もし薬を服用して急に落ち着かなくなってきたり、手足の震え、発熱や発汗など症状がある場合はセロトニン症候群の可能性が高いといえます。

治療は何より原因とな薬物の中止です。場合によってはセロトニン受容体拮抗作用をもつシプロへプタジンや、ミオクローヌスの対症療法としてクロナゼパムを投与することがあります。

治療は原因薬物の中止で終わることがほとんどですが、もしセロトニン症候群でなかった場合、例えばSSRIの急な中止は離脱症状を起こる可能性があります。セロトニン症候群を疑う場合は服用中の薬剤を持って速やかに医療機関を受診し、適正な支持を仰ぐのが望ましいでしょう。

1

コメント

タイトルとURLをコピーしました