オファコルカプセル 先天性胆汁酸代謝異常と一緒に理解

消化器系の薬

今年の6月に発売された新薬について書こうと思います。2023年6月19日に先天性胆汁酸代謝異常の治療薬であるオファコル®カプセルが販売されました。薬の中身自体はシンプルなものですが、対象となる疾患があまり見かけない疾患です。いい機会なので新薬と一緒に、この疾患についても知ってもらえればと思います。


先天性胆汁酸代謝異常はその名の通り、先天的に胆汁酸の代謝に何らかの問題がある疾患です。
まずは胆汁の中身、働きについて確認しましょう。
胆汁は肝臓で作られ、胆嚢に貯蔵されます。胆汁には胆汁酸とよばれる有機酸やビリルビンが含まれます。コレステロールからコール酸、ケノデオキシコール酸が生成されます。また脾臓で古い赤血球が分解されてできたビリルビン(間接ビリルビン)は肝臓に送り込まれ、グルクロン酸抱合され、直接ビリルビンとして胆汁中に分泌されます。

生成された胆汁は胆嚢に貯蔵されます。食事などの刺激があると胆嚢が収縮し、胆汁が十二指腸に分泌されます。

胆汁に含まれている胆汁酸が脂肪をミセル化し、これにより脂肪の消化・吸収が可能になるわけです。

十二指腸に分泌されて脂肪の消化・吸収に使われた胆汁は一部が便中に排泄されますが、大半は再吸収されて再利用されます。これを腸肝循環といいます。

ここまでで胆汁酸の中身、働きについては分かったでしょうか?
それでは先天性胆汁酸代謝異常について学びましょう。
胆汁酸が作られるのにはコレステロールから一次胆汁酸と呼ばれるコール酸、ケノデオキシコール酸が生成され、これが腸内細菌によって分解され、二次胆汁酸と呼ばれるデオキシコール酸、リトコール酸になります。

コレステロールから一次胆汁酸を生成する際に必要な酵素が複数存在しますが、このうち1つが遺伝的に欠損している場合があります(現在確認されている酵素欠損は8種類です)。これが先天性胆汁酸代謝異常症です。一次胆汁酸が生成されないと中間代謝物の異常胆汁酸が肝細胞内に蓄積してしまいます。

異常胆汁酸は肝臓に蓄積し、腸肝循環が悪くなってしまいます。
※これを胆汁うっ滞といい、先天性胆汁酸代謝異常の大部分で診られます。
すると胆汁中のビリルビンが腸に排泄されなくなり、黄疸を生じます。また腸にビリルビンが排泄されないと便中にビリルビンが含まれません。そのため便が白くなる灰白色便を生じます。
脂溶性ビタミンの吸収には胆汁酸が必要なので、胆汁酸の不足により脂溶性ビタミン欠乏症を起こしたり、胆汁が肝臓に蓄積してしまい肝腫大を生じます。
異常胆汁酸の蓄積により肝機能が傷害され、肝臓でのビタミンKの産生が低下してしまいます。これにより出血を起こしやすくなります。
※ビタミンKは血液凝固Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子の産生に必要です

肝機能障害が進むと肝硬変や脾腫、腹水、成長障害などが生じます。


先天性胆汁酸代謝異常についてはある程度理解できたでしょうか?
それでは今回のオファコル®カプセルについて見てみましょう。オファコル®カプセルの中身はコール酸です。胆汁酸の大部分はコール酸です。これが遺伝子欠損により産生できないので、これを外部から補ってあげるわけですね。

・用法用量について
「通常、コール酸として 1 日量 5~15 mg/kg を 1 回又は数回に分けて食事中に経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減すること。」

と記載されています。オファコル®カプセルの規格は50㎎です。体重30kgの子の場合は150~450㎎、つまり3~9カプセルです。ただし以下のような記載があります。

体重40kgの子に1日600㎎などとかいかないようですね。
服用タイミングは食事中になります。胆汁酸として働くので、本来胆汁酸が腸管に分泌される食事中に投与するわけですね。なおコール酸は回腸より吸収され、肝臓に取り込まれ腸肝循環します。

・副作用について
1%以上の副作用として低カルシウム血症があります。
また頻度不明の副作用として下痢、胆石症、そう痒症があります(”コール酸製剤としての投与経験に基づく”とされています)。下痢については、胆汁酸が過剰に投与されてしまうと回腸で吸収されきれなかった分が大腸まで到達し、これにより浸透圧性の下痢になると考えれば納得できます。
胆石症に関しても胆汁成分の偏りが胆石ができる原因になるので、コール酸の投与で胆汁成分が偏ってしまい、石ができることは想定できます。

・使えないタイプもある
全ての先天性胆汁酸代謝異常に使えるわけではありません。効能効果の注意事項に次のような記載があります。

オファコル®カプセルはコール酸を体外から補充するものです。そのため一次胆汁酸であるコール酸が生成できないタイプに対しては有効です。しかし一次胆汁酸のアミノ酸抱合をする酵素が欠損しているタイプでは効果が期待できません。コール酸の生成までは正常に行われているわけですからね。


以上で先天性胆汁酸代謝異常とオファコル®カプセルについては理解できたでしょうか?
先天性胆汁酸代謝異常は難病であり、患者数も少ないことから、扱う機会は少ないでしょう。早期発見されれば予後は良好とされています。しかし発見が遅れれば肝機能不全で致死的になることもあります。こういう希少疾病にも関心をもち、いざ処方が来ても素早く対応できるようにしておきましょう。

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