モビコール®配合内用剤の名称変更

消化器系の薬
今日うちの薬局に持田製薬のMRさんが来ました。
モビコール®配合内用剤がモビコール®配合内用剤LDに名称変更するとのことでした。いい機会なのでモビコール®配合内用剤についておさらいしましょう。

モビコール®配合内用剤は2018年11月に薬価収載され、2019年12月に長期投与が可能になった比較的新しい薬剤です。
薬理作用を見てみましょう。モビコール®配合内用剤の有効成分は

・マクロゴール4000 ・NaCl ・NaHCO3 ・KCl

になります。主成分はマクロゴール4000になります。

マクロゴールはポリエチレングリコールともいう高分子化合物です。
※4000とはポリエチレングリコールの平均分子量を示しています。日本薬局方には400、1500、4000、6000、20000が収載されています。

マクロゴールは消化管で吸収されないので、腸管内の浸透圧が上昇します。
これにより腸管内の水分量が上がり、便の軟化、容積の増大が生じます。結果、便が柔らかくなり、また増大した便により腸の蠕動運動が促進され、排便が起きやすくなります。
なおNaCl、NaHCO3、KClが配合されているのは、浸透圧の増加した腸管内の電解質バランスを正常に維持するためです。

作用機序を見て分かるように、効能効果は「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」です。
器質的疾患による便秘とは腸の狭窄などによる便秘を指します。便の容積が増大するので、腸が狭窄を起こしている箇所では腸閉塞を起こしてしまう可能性があります。
そのため器質的疾患による便秘症には用いることが出来ず、「腸閉塞、腸管穿孔、重症の炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、中毒性巨大結腸症等)が確認されている患者又はその疑いがある患者」では使用が禁忌になっています。

服用する際は水に溶かして用います。(1包あたり約60mLの水に溶かします)
12歳以上の場合は1回2包を水に溶かします。症状に応じて1日1~3回、1日最大6包まで服用可能ですが、1回最大服用量は4包までです。
※7歳以上12歳未満の場合は1回2包を1日1~3回(1日最大4包まで、1回最大服用量は2包まで)
※2歳以上7歳未満の場合は1回1包を1日1~3回(1日最大4包まで、1回最大服用量は2包まで)
モビコール®配合内用剤は散剤のままで服用することはできません。マクロゴール4000が保持した水分を大腸に届けることで効果を発揮します。服用するまでにマクロゴール4000に水分を保持させておかなくてはなりません。

モビコール配合内用剤は使用できる人の年齢層が比較的幅広いと言えます。
プルゼニド®、アローゼン®、マグミット®は成人量の他に「年齢により適宜増減」と書かれただけであり、アミティーザ®、グーフィス®、リンゼス®などは成人のみです。
モビコール®配合内用剤は2歳から使用可能なので、ラキソベロン®内用液の次に幅広い年齢層に使えるのではないでしょうか?(ラキソベロン®内用液は生後6ヶ月から使用可能)
また妊婦、授乳婦も使用可能です。(有益性投与)(アミティーザ®は妊婦に禁忌)

服用してから効果が出る(初回自発排便発現)まで約2日かかります。
ポリエチレングリコールが腸管の浸透圧を増大⇒便の軟化、容積の増大⇒蠕動運動の促進 といった過程をたどるので時間がかかるようです。
他の下剤ではプルゼニド®で8~10時間、アローゼン®で8~12時間、マグミット®で8~10時間(人によっては2~3時間)効果発現までかかるとされています。
それらに比べるとモビコール®配合内用剤は比較的時間がかかり、ある程度継続して服用しないといけないと言えます。

さてモビコール®配合内用剤について色々書いてみましたが、この度モビコール®配合内用剤LDに名称変更したということは、近いうちにモビコール®配合内用剤HDが発売されることが想定されます。その際はマクロゴールが4000から6000になると思われます。排便効果がより強いものが登場することで、便秘で困っている人に対する選択肢が増えそうですね。

下剤には他にもグーフィス®やアミティーザ®、リンゼス®など色んな作用機序の物があります。それらについてはまた別の記事で紹介していこうと思います。

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