ユリス錠

ユリス錠最近ユリス®錠を卸に返品しました。単に卸の販売実績の協力のために取ったものですが、全く使わなかったので返品した次第です。手元になくなると勉強を怠ってしまうので、忘れないうちにユリス®錠についてまとめておきたいと思います。

ユリス®錠の成分はドチヌラドとい、近位尿細管での尿酸の再吸収を抑制します。近位尿細管で再吸収に働くトランスポーターをURAT1というので、URAT1選択的尿酸再吸収阻害薬といいます。

同一の作用機序をもつ薬物にはベンズブロマロン(ユリノーム®があります。ベンズブロマロンと作用機序は一緒なので、ベンズブロマロンと比べてどこが異なるかを見ていきましょう。
・劇症肝炎の副作用の報告がない
ユリノーム®錠では緊急安全性情報で劇症肝炎の副作用が報告されました。そのため投与開始後少なくとも6ヶ月間は定期的に肝機能検査をすることとなっています。一方ユリス®錠ではそのような報告はありません。ベンズブロマロンによるミトコンドリア毒性やCYP2C9阻害作用が肝機能障害の原因と考えられているようですが、ドチヌラドはその作用が弱いためと考えられています。
高尿酸血症の治療は尿酸生成阻害薬がメインとなっていますが、その理由にベンズブロマロンの劇症肝炎などの重篤な肝機能障害があるため、使用を懸念する医師が多かったようです。劇症肝炎のリスクが低いとなると、尿酸再吸収阻害薬の使用頻度が上がるかのしれません。
・使用量は徐々に上げていかなくてはならない
ユリス®錠の規格は0.5㎎、1㎎、2㎎があります。
添付文書の用法及び用量に関連する注意に
「尿酸降下薬による治療初期には、血中尿酸値の急激な低下により痛風関節炎(痛風発作)が誘発されることがあるので、本剤の投与は0.5mg1日1回から開始し、投与開始から2週間以降に1mg1日1回、投与開始から6週間以降に2mg1日1回投与とするなど、徐々に増量すること。なお、増量後は経過を十分に観察すること。」
とされています。
ユリノーム®錠では段階的に量を増やしく記載はなく、1日25~150mgです。
ただユリノーム®錠が徐々に増やす必要がないのではなく、高尿酸血症の治療の基本は急激な尿酸値の変動を防ぐために、徐々に増量です。ユリス®錠では添付文書に明確に記された形になります。
また尿酸値の急激な変動を防ぐため、ユリノーム®錠から切り替える際にはユリス錠®は2mgから開始になります。ユリノーム®錠で尿酸値が安定した状態で切り替えるには、ユリス®錠も維持量で使わないといけないみたいですね。
・痛風発作時の対処はほかの尿酸降下薬と変わらず
添付文書の重要な基本的注意に
「本剤投与前に痛風関節炎(痛風発作)が認められた場合は、症状がおさまるまで、本剤の投与を開始しないこと。また、本剤投与中に痛風関節炎(痛風発作)が発現した場合には、本剤の用量を変更することなく投与を継続し、症状によりコルヒチン、非ステロイド性抗炎症剤、副腎皮質ステロイド等を併用すること。」
と記載されています。
これはユリス®錠に限ったことではなく、痛風発作時に尿酸値が降下すると発作の悪化、遷延化が起こることが「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」で記されています。つまり痛風発作時にはなるべく、尿酸値を同じ程度に保ったままが望ましいと言えます。
尿酸降下の治療開始前に痛風発作 ⇒ 発作がおさまってから尿酸降下剤を使用
尿酸降下剤の服用中に痛風発作 ⇒ 用量はそのままで継続
といった形になります。
ちなみにユリノーム®錠の添付文書には服用中に痛風発作が起きた時のことは書いていませんでした。でも他の薬と同様の対処方法で間違いないと思います。
・併用注意が1個少ない
ユリノーム®錠の併用注意ではワルファリン、ピラジナミド、アスピリンがあります。ユリス®錠の併用注意はワルファリンがありません。(ピラジナミド、アスピリンは一緒)
ワルファリンがCYP2C9で代謝されるのに対し、ベンズブロマロンはCYP2C9阻害作用を有します。そのためワルファリンの代謝が阻害され、効果が強く出る恐れがあります。
ドチヌラドはCYP2C9 阻害作用が弱いので、ワルファリンに対する影響が少ないため、併用注意から外れた形になります。
ざっと見てユリノーム®錠が少し良くなった感じでしょうか?
重大な副作用が起きるリスクが減ったのと、併用注意が1個減ったので、処方する側にとってはいくぶん使いやすくなった印象ですね。まだ当薬局にユリス®錠の処方箋は流れてきていません。しかしいつ流れてきたも大丈夫なように予習は必須ですね。
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