血液凝固の指標① PT-INR

臨床検査値

最近はだいぶ少なくなりましたが、抗凝固剤としてワーファリンを使っている人もいます。

ワーファリンを服用中の人は定期的にPT-INRを測定しています。
PT-INRが2~3だとちょうどいいことは知っている人は多いのですが、そもそもPT-INRとは何を示しているか、キチンと説明できる人は意外に少なかったです。今回はPT-INRについておさらいしてみようと思います。

まずプロトロンビン時間(以下PT)についておさらいしましょう。
PTは外因系の血液凝固の時間を測る測定法です。
検体となる血漿にカルシウムイオン、組織トロンボプラスチンを加え、フィブリンが析出するまでの時間を測定します。(カルシウムイオンは塩化カルシウムを用います)
外因系のⅦ、Ⅴ、Ⅹ因子と、プロトロンビン(Ⅱ因子)、フィブリノーゲン(Ⅰ因子)の活性が総合的に反映されます。
正常な人の場合PTは10~12秒となります。

患者のPTを正常PTで割ったものをプロトロンビン比といい、これにより正常の血液に対して検体となる血液がどの程度固まりにくいかが分かります。

プロトロンビン比=検体PT/正常PT
⇒ プロトロンビン比が大きい=血液凝固が遅い ことになります

しかしPTは加える試薬のメーカーによってバラつきが出ます。これを補正するために国際標準試薬との感度であるISI(国際間度指数)が各試薬に割り当てられています。
当然ISIが1に近い試薬が推奨されることになります。
※ISIは各PT試薬の添付文書に記載されています。

プロトロンビン比をISIで累乗して補正したものがPT-INR(単にINRともいう)になります。

PT-INRをもって血液凝固がどの程度抑制されているかを測るわけです。
正常な人の場合PT-INRは0.8~1.2 ワーファリンを服用している場合は2~3が基準値となります
PT-INRが4を超えると出血のリスクが高く、適正な処置が必要となります。 PT-INRが何を意味しているか理解できたでしょうか?一度理解できれば数字をみて、患者の容態がだいたいどんな感じかイメージできると思います。 次回以降の記事で別の指標についても書くので、しばらくお待ちください。

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