2020年11月27日にCOPD治療薬のテリルジーエリプタ®が気管支喘息の承認を得ました。エナジア吸入用カプセル®に次いで2個目になる、3成分配合の気管支喘息治療薬です。
今回はこのテリルジーエリプタ®について学びましょう。
テリルジーエリプタ®は吸入ステロイド(ICS)、長時間作用型β2刺激薬(LABA)、長時間作用型抗コリン薬(LAMA)の合剤です。
エナジア吸入用カプセル®と比べてみましょう。
※エナジア吸入用カプセルについての詳しい説明はこちらをご覧ください。
エナジア吸入用カプセル®
中用量:モメタゾンフランカルボン酸エステル80μg,
インダカテロール150μg,
グリコピロニウム50μg
高用量:モメタゾンフランカルボン酸エステル160μg,
インダカテロール150μg,
グリコピロニウム50μg
テリルジーエリプタ®
100エリプタ:フルチカゾンフランカルボン酸エステル100μg、
ビランテロール25μg、
ウメクリジニウムとして62.5μg
200エリプタ:フルチカゾンフランカルボン酸エステル200μg、
ビランテロール25μg、
ウメクリジニウムとして62.5μg
ICS、LABA、LAMAともに有効成分が異なりますね。
LABA、LAMAの含有量はどちらの規格も一緒であり、ICSによって規格が異なる形になります。
テリルジー®は100エリプタは気管支喘息、COPDの両方に適応がありますが、200エリプタは気管支喘息のみです。
気管支喘息、COPDともに1日1回吸入であり、気管支喘息に関しては100エリプタを用いて、症状に応じて200エリプタとなっています。
エナジア吸入用カプセル®も通常は中用量、症状に応じて高用量となります。
どちらも小さい規格から用い、効果不十分なら大きい規格に変更といった形になります。
使い勝手について比べてみましょう。
エナジア吸入用カプセル®はブリーズヘラータイプで使うのは少し面倒です。
一方、吸入してる最中はカラカラと音が鳴り、また使い終わった後カプセルを取り出す際に、カプセルが透明なため、中身が残っていないか確認できるメリットもあります。
テリルジーはエリプタ製剤です。おそらく吸入薬の中で最も使い方は簡単であり、蓋をカチャっと音がするまで開け、その後吸入するだけです。
使い方が簡単な一方、正しく吸えたか分かり辛いデメリットもあります。
(粉も微量なので吸っている感じはしません。味もあまりしないです。)
簡単さならテリルジー、正しく吸えたか不安ならエナジアといった感じで、一長一短ですね。
現在の気管支喘息予防・管理ガイドラインではステップ2からLAMAを使用可能です。
今回テリルジーエリプタ®が気管支喘息に対する適応をとったのは画期的なことだと思います。
なぜなら3成分合剤で初めてCOPDと気管支喘息の両方に有効だからです。(100エリプタのみ)
※エナジア吸入用カプセルは気管支喘息のみ。
COPDの患者の中には気管支喘息を併発している患者も多くいます。
テリルジー100エリプタ®を使えば、1回の吸入で両方に効果が期待できます。
今後はエナジア吸入用カプセル®がCOPDの適応をとったり、新たな3成分合剤が出てきてくれるとより治療の幅が広がりそうです。
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