夏バテの対応 清暑益気湯

漢方薬

暑い日が続きますね。夏バテを起こしている人もいるのではないでしょうか?
夏バテを起こした場合涼しくして安静にするのが一番ですが、どうしても辛い時は薬に頼るのもありかと思います。今回は夏バテに用いられる漢方の清暑益気湯について解説します。

まず夏バテはどのように起きているのでしょうか?
以前の記事で東洋医学では、外部からの要因で病気になる時は外邪(風邪、火邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪)が体に入ってくると考えられていることをお伝えしました。
夏の厳しい暑さでは暑邪が侵入します。
暑邪は脾胃の機能を弱めてしまいます。気は脾胃によって食べ物から取り込まれます。(水穀の精気)
つまり脾胃の機能が弱まることによって気が不足することになります。
気は血や津液を全身に循環させ、また臓器を動かしています(推動作用)。そのため気が不足することによって倦怠感や食欲不振が生じわけです。
また気には固摂作用(体液を血管などに留めておく力)があるため、これが不足することで発汗が酷くなるわけですね。

血と津液についても見てみましょう。
血は水穀の精気と清気、腎精が肺で合わさって作られます。

津液は脾胃で食べ物から取り出されます。また腎陰(腎に含まれている水分)が腎陽に暖められ津液が取り出され、これも脾胃に送られます。

つまり脾胃の機能が低下することによって血も津液も不足することになります。
血と津液には体を潤す作用があるので、これが不足することで体が乾燥し、口喝、尿量の減少、体に熱が出るなどの症状がでるわけですね。
※気、血、津液については「東洋医学の理論② 気・血・津液」で詳しく書いてますので、見直してみて下さい。

ここまでの説明で夏バテの起きるメカニズムが分かったでしょうか?
次に清暑益気湯の中身を見てみましょう。

まず初めに低下した脾胃の機能を高めるために陳皮、蒼朮が含まれています。どちらも脾胃の機能を補い高めます。
人参は脾と肺の機能を高め気を取り込み、気の不足を解消します。
(脾から水穀の精気が、肺から清気が取り込まれる)
当帰は肝の機能を高めることによって血の不足を改善します。
(血を貯蔵し、血を体のどこにどの程度送るかを決めるのは肝)
麦門冬は肺や心、胃に潤いを与えます。
(肺に潤いを与えるので空咳や痰の粘調化にも有効)
黄柏は代表的な清熱薬です。

以上の生薬で脾胃の機能を高め、気を取り込み、血の循環を改善し、体に潤いを与え冷やすといった夏バテの解消に有効な働きが全て揃うわけですね。

清暑益気湯の働きは分かりましたでしょうか?
夏バテに限らず脾胃の働きが弱くなると体に不調が起きるのは明白ですね。普段から胃腸の調子を整えておくことが健康な毎日を送る基本なのかもしれません。



にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

記事が良かったと思ったらランキングの応援をお願いします。

0

コメント

タイトルとURLをコピーしました