アメナリーフ錠

アメナリーフ錠
先日、門前の医師からアメナリーフ®錠を入れておいてくれと頼まれました。
個人的にはようやくかと思いました。金額が高いので棚卸し前に在庫金額が上がってしまいますが、喜んで採用させていただきます。今回はこのアメナリーフ®錠について解説します。
アメナリーフ®錠は帯状疱疹に用いる抗ウイルス薬です。
まずはアメナリーフ®の作用機序から見てみましょう。


アメナリーフ®の有効成分であるアメナメビルの作用機序は、DNAウイルスのヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の活性を阻害します。

DNAウイルスはDNAを複製する際にDNAの2本鎖を一旦ほどき、1本鎖にします。この1本鎖になったDNAがDNAポリメラーゼによって複製されます。
ヘリカーゼ・プライマーゼ複合体はDNAの2本鎖を開裂する作用を有します。
またDNAポリメラーゼがDNAを複製する際には、その起点となる部位が必要となります。これをRNAプライマーといいます。ヘリカーゼ・プライマーゼ複合体はRNAプライマーを合成します。
つまりヘリカーゼ・プライマーゼ複合体を阻害することによって、DNA2本鎖の開裂、RNAプライマーの合成を阻害し、DNA複製を阻害することになります。
アメナメビル作用機序
アシクロビルやバラシクロビルなどはDNAポリメラーゼを阻害しますが、アメナメビルはその1個前の段階でDNAの複製を阻害していることが分かります。そのためアシクロビルに抵抗性を持ったウイルスにも有効性を示すとされています。
その他にも従来の抗ヘルペス薬との違いを見てみましょう。
・用法の違い
帯状疱疹に用いる場合、アシクロビルは1日5回(小児は4回)、バラシクロビル、ファムシクロビルは1日3回の服用が必要になります。しかしアメナリーフは1日1回の服用で済みます。従来の薬に比べて圧倒的に楽であり、患者のコンプライアンスにもよいでしょう。
・適応症は帯状疱疹のみ
アシクロビル、バラシクロビルは単純疱疹、帯状疱疹、性器ヘルペス(再発抑制)、造血幹細胞移植における単純ヘルペス(発症抑制)、水痘に適応があり、ファムシクロビルは単純疱疹、帯状疱疹に適応があります。一方アメナメビルは帯状疱疹のみです。

単純ヘルペスウイルスと水痘・帯状疱疹ウイルスの総称をヘルペスといいます。
単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染症を単純疱疹、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)による感染症を水痘や帯状疱疹といいます。ヘルペスという呼称から一緒と思いがちですが、別々のウイルスです。アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルはHSVとVZVの両方に効くわけです。
・腎機能障害にも使いやすい
アメナメビルはCYP3A4で代謝され、約80%が糞中に排出されます。つまり肝代謝型であり、腎臓での排出は少なめです。添付文書を見るとクレアチニンクリアランス低下時にはAUCは上昇するようですが、Cmaxは影響がなかったようです。これらのことからクレアチニンクリアランスによる用量の調節は不要とされています。
アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルはいずれも腎機能低下時には減量や投与間隔の延長が必要とされています。
以上の事から見ると従来の抗ヘルペスウイルス薬に比べて、アメナリーフ®は医師からしても使い易く、患者側のメリットも大きいわけですね。
アメナリーフ®錠は2017年に発売されましたが、個人的な感覚としてはまだバラシクロビルが最も用いられている印象です。お医者さんとしては使い慣れた薬を使いたいのでしょうが、徐々にアメナリーフ®のように使い勝手の良い薬にシフトしていって欲しいです。
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