メラトベル顆粒

メラトベル顆粒

2020年6月に新たな小児入眠改善薬としてメラトベル顆粒®が発売されました。

今回はメラトベル顆粒®について少し書いてみようと思います。
メラトベル顆粒®の有効成分はメラトニンそのものです。

有効成分からして分かるように、作用機序はラメルテオン(ロゼレム®)と同様ですね。ラメルテオンと同様にメラトニン受容体を刺激して入眠作用を生じます。
ラメルテオンの作用機序をおさらいしておきましょう。
ラメルテオンはメラトニンMT1受容体、MT2受容体を刺激します。
(MT1受容体、MT2受容体はともにGi共役型受容体です)

・MT1受容体を刺激すると交感神経を抑制し、睡眠を促進します。
・MT2受容体を刺激すると概日リズムを整え、体内時計を正常に戻します。
MT2受容体を刺激することにより、自然に近い睡眠が得られることが特徴です。またベンゾジアゼピン系のような依存性が極めて少なく、安全性が高い睡眠導入剤と言えます。
ロゼレム®の効能効果は「不眠症における入眠困難の改善」なのに対し、メラトベル顆粒®「小児の神経発達症に伴う入眠困難の改善」となっています。
小児の神経発達症とはADHD(注意・欠陥多動性障害)やASD(自閉症スペクトラム)、知的能力障害などのことです。
※ここでいう小児とは6~15歳をさします。
ADHDやASDでは多動性や興奮性により、入眠が困難になることがあります。これを改善するために承認されたのがメラトベル顆粒®というわけです。
メラトベル顆粒®の特徴を見てみましょう。
・フルボキサミンが併用禁忌
⇒フルボキサミンがCYP1A2、CYP2C19を阻害し、メラトニンの代謝が抑制される。ラメルテオンと同様です。
・副作用として最も多いのは傾眠と頭痛
作用機序的には傾眠は少ないはずですが、入眠改善薬である以上仕方ないのかもしれません。睡眠薬の副作用にはたいてい頭痛が入っています。
⇒ハルシオンやマイスリ―、ベルソムラなどでも同じような副作用の傾向にあります。
・頓服には用いられない
添付文書を見ると小児の単回投与ではTmaxは約0.3時間であり、効果が出てくるのは非常に早いと言えます。しかし単回投与では効果は認められていないようです。連日投与して初めて効果が出てくるとされています。
さっと書いてみましたが、内容的にはラメルテオンと非常に似ています。
ちなみにロゼレム®は使用量が1日1回8㎎だけなのに対して、メラトベル顆粒®は1日1回1㎎、症状によって最大4㎎まで使用可能です。
当薬局の患者さんで13歳の自閉症スペクトラムの患者さんが、夜なかなか寝てくれなくてお母さんが困っている事例があります。
リスペリドンやカルバマゼピンを服用しており、最近はルネスタ®を就寝前に服用しています。しかしやはり効果がイマイチなことが多く、日中に眠気を伴うこともあるみたいです。メラトベル顆粒®はそこまで強い睡眠効果は期待できませんが、睡眠のリズムが正常に近づけるので、日中の眠気は軽減するかもしれません。ロゼレム®やメラトベル顆粒®がこのような事例に少しでも役に立ってくれると嬉しいです。
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