ヒアレイン点眼液、ヒアレインS点眼液

眼科の薬

2020年9月より、参天製薬からヒアレイン点眼液のOTC、ヒアレインS点眼液が発売されました。
ヒアレインは一般の人でも知っている人が多いので、注目した人も多いのではないでしょうか?今回はヒアレインS点眼液と医療用のヒアレイン点眼液について少し詳しく見てみたいと思います。

ヒアレインS点眼液は有効成分に精製ヒアルロン酸ナトリウムを含んでいます。
これはヒアレイン点眼液と一緒ですね。
精製ヒアルロン酸ナトリウムの濃度は0.1%であり、ヒアレイン点眼液0.1%と一緒になります。
ヒアレイン点眼液の規格は0.1%と0.3%ですが、さすがにOTCになったばかりで0.3%は出なかったようです。もう何年かしたら発売されるかもしれません。

ヒアレインS点眼液の最も注目すべきところは防腐剤ではないでしょうか?
多くの目薬には防腐剤としてベンゼトニウム塩化物やベンザルコニウム塩化物が含まれています。この防腐剤があることによって、開封後の目薬が1ヶ月程度品質が保持されることになります。しかし中にはこの防腐剤でアレルギー反応を起こす人もおり、またこの防腐剤はソフトコンタクトレンズに吸着します。
ソフトコンタクトレンズの表面は陰性に帯電しています。ベンゼトニウム塩化物、ベンザルコニウム塩化物はどちらも陽イオン界面活性剤です。そのためコンタクトレンズ表面に吸着し、コンタクトレンズを変形させる原因になります。またレンズ表面に防腐剤が吸着したまま装着すると、高い濃度で長時間角膜に接触することになるので、角膜障害を起こす可能性もあります。

 

しかしヒアレインSは防腐剤はクロルヘキシジングルコン酸塩です。
※クロルヘキシジングルコン酸塩はビグアナイド系消毒薬と言われてます。レンズに吸着しないのでソフトコンタクトレンズ装着時でも使用可能です。殺菌の詳しいメカニズムは不明とされています。

 

容器の形としてはソフトサンティアと同じであり、開栓前の物は密閉状態になります。そのため使い始める時になって、初めて一度キャップを閉め容器を開栓し、使える形になります。

効能効果としては「乾き、異物感(コロコロ・チクチクする感じ)、疲れ、かすみ、ソフトコンタクトレンズまたはハードコンタクトレンズを装着しているときの不快感となっています。防腐剤がクロルヘキシジングルコン酸塩なので、コンタクトレンズを装着したまま使用可能ってことですね。

医療用のヒアレイン点眼液にも防腐剤が含まれています。
もともとはベンザルコニウム塩化物が含まれていたので、ソフトコンタクトレンズ装着時には使用できませんでした。しかし2018年より防腐剤がベンザルコニウム塩化物からクロルヘキシジングルコン酸塩に変わりました。これによりソフトコンタクトレンズ装着時にも使用できることになりました。
添付文書でも効能効果は

「下記疾患に伴う角結膜上皮障害
・ シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼球乾燥症候群(ドライアイ)等の内因性疾患
・ 術後、薬剤性、外傷、コンタクトレンズ装用等による外因性疾患」

となっています。
ヒアレイン点眼液はシェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群によるドライアイに使えることになっていますが、ヒアレインS点眼液の添付文書をみると以下のような記載があります。

次の人は使用しないでください
(1)本剤または本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことのある人
(2)次の診断を受けた人:ドライアイ、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、角膜感染症
(3)次の症状のある人:急激な視力低下、はげしい目の痛み

ヒアレイン点眼液はドライアイ、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群に使えるのに、ヒアレインS点眼液は使ってはならない?
成分的に使えないなんてことはありませんので、「ヒアレインS点眼液を使うことにより、ドライアイ、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群の症状を隠してしまい、病気の発見が遅れるから」と解釈していいでしょう。
眼科の診察を受けた後で処方されるヒアレイン点眼液と、自分の判断で購入するヒアレインS点眼液の違いですね。

まあ結論からすれば ヒアレイン点眼液0.1% ≒ ヒアレインS点眼液 でいいのではないでしょうか?
ちなみにヒアレインS点眼液は要指導医薬品です。こんなのどうみても三類医薬品ですが、発売されたばかりなので仕方ないですね。早く要指導医薬品から外れて欲しいな。

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