BNP、NT-proBNP

臨床検査値
 

前回の記事で母が血管性認知症とうっ血性心不全であることを書きました。
今回はうっ血性心不全のマーカーであるANP、BNPについて説明します。
エンレスト錠の記事でも書きましたが、ANP、BNPは血管拡張作用と利尿作用をもち、心負荷を軽減します。

ANP:心房性ナトリウム利尿ペプチド(心房から分泌される)
BNP:脳性ナトリウム利尿ペプチド (脳・心室から分泌される)

心不全によって心臓の負荷が増大したときに、それをやわらげるためにANP、BNPの分泌が増加します。つまりANP、BNPの数値によって、心不全の状態が分かることになります。
BNPの方がANPに比べて心不全に対して鋭敏に反応するので、心不全の重症度の判断にはBNPが用いられます。

BNPの基準値 18.4(pg/mL)以下
※実際は40(pg/mL)以上で精密検査をし、100(pg/mL)以上で治療を開始することが多い。

またBNPよりもNT-proBNPの方がさらに心不全に鋭敏に反応するので、近年はNT-proBNPを用いることが多いです。
NT-proBNPはBNPの前駆体であるproBNPがタンパク分解酵素により切断されて生じます。

NT-proBNPは生理活性をもちません。BNPに比べて血中半減期が長いため血中での安定性が高く、より精度の高い測定が可能になります。
ちなみにNT-proBNPは血清で測定することが可能であり、検体も冷蔵保存が可能です。(BNPは血漿を用い、検体は冷凍保存)  

NT-proBNPの基準値 125(pg/mL)以下
※実際は400(pg/mL)以上で治療を開始することが多い


BNP、NT-proBNPだけで心不全の重症度を決めるわけではなく、身体活動による疲労、呼吸困難の有無、その他の基礎疾患の有無などにより総合的に判断します。なにより早期発見が一番ですので、日常生活での動悸、息切れなどに注意し、異常を感じたら早めに受診して頂けたらと思います。その上で採血をしBNPやNT-proBNPを測定して頂くのが一番ですね。  

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