ツイミーグ錠を徹底解析

内分泌・代謝性疾患の薬

昨日大日本住友製薬のMRの方が薬局に情報提供に来ました。
そこで2021年9月16日発売予定のツイミーグ®錠について紹介されました。非常にユニークに作用の薬であり、また糖尿病治療の選択肢が広がると思います。渡された冊子だけでは理解するには不十分だと思うので、今回私が勉強し直してまとめた内容を記事にします。参考にして下さい。

ツイミーグ®錠の有効成分はイメグリミンといいます。
膵臓、骨格筋、肝臓でそれぞれの働きをします。

まず膵臓での働きを見てみましょう。
膵臓では膵β細胞でグルコース依存的なインスリン分泌を促進します。
最初に膵β細胞でのインスリン分泌の作用機序を見てみましょう。
膵β細胞にグルコース輸送タンパクGLUT2によってグルコースが取り込まれます。取り込まれたグルコースは解糖系を通じてピルビン酸になった後、ミトコンドリアでTCAサイクル、電子伝達系を通じてATPを生じます。ATPの産生によりATP感受性Kチャネルが閉じることで細胞外へのK⁺の流出が抑制され、脱分極が生じます。これによって電位依存性Caチャネルが開口しCa2⁺が細胞外から流入し、Ca2⁺によりインスリンの分泌が促進されます。

ここまでがグルコースの取り込みによりインスリンが分泌される一連の流れです。
ここで注目してほしいのがミトコンドリアでのATPの産生についてです。ATPを作る時にNADは必須の補酵素です。そしてNADは以下のような代謝経路をしています。

NAMPTはNAMからNADを生成する際の律速酵素ですが、イメグリミンはNAMPT遺伝子の発現を増加し、NAMPTの産生を促進します。結果としてNADの産生が増加され、結果としてATPの産生も増加するわけです。回りくどい働きで理解しずらいですが、NAMPT遺伝子発現の増加⇒NAD産生亢進⇒ATP産生亢進⇒グルコース依存的インスリン分泌を亢進 といった働きをします。あくまでグルコースが取り込まれた際のインスリン分泌を促進するので、SU剤のように無理やりインスリン分泌を促進したりしません。この辺はDPP4阻害薬とそっくりですね。

膵臓での働きはもう1個あります。それが活性酸素の産生抑制によるミトコンドリアの機能改善です。
ミトコンドリアは外膜と内膜の2つの膜が存在します。内膜には呼吸鎖複合体(Ⅰ~Ⅴまでサブタイプがあります)というタンパク質があり、ここで酸化還元反応によりATPを産生しています。(電子伝達系)

ミトコンドリアでは上記のような過程をとって酸化還元反応が行われています。
この過程で活性酸素(ROS)が産生されます。イメグリミンはこの活性酸素を低下させることにより、ミトコンドリアの機能を高め、β細胞を保護します。
イメグリミンは呼吸鎖複合体Ⅰを競合的に阻害し、呼吸鎖複合体Ⅲのタンパク質量・活性を回復するとされています。呼吸鎖複合体Ⅲに対して具体的にどうやって作用するのかまでは分かりませんでした。上手いこと活性酸素を作りだす過程を阻害し、かつ電子伝達系は正常に行われるように働いているのでしょう。

次に骨格筋と肝臓でのでの働きをまとめて見てみましょう。
イメグリミンは骨格筋での糖の取り込み促進作用と、肝臓での糖新生の抑制作用をもちます。
薬理学を詳しく勉強している人ならピンとくるかもしれません。これはメトホルミンと同様の作用です。
イメグリミンの糖取り込み作用と糖新生抑制作用の詳しい作用機序はいくら探しても見つかりませんでした。しかし推測の域をでませんが、メトホルミンと同様の作用をすると考えています。実際にイメグリミンとメトホルミン構造式はそっくりです。(似た構造式をした化合物が似たような薬理作用を示すことを構造活性相関といいます)

そこでメトホルミンの作用機序を見ておきましょう。
メトホルミンはAMPキナーゼ(AMPK)という酵素を活性化します。AMPキナーゼはATPを産生するのに用いられる酵素です。
またAMPキナーゼはグルコース輸送タンパクのGLUT4を細胞膜への移送を促進します(詳しい作用機序は不明)。GLUT4は骨格筋細胞でグルコースを細胞内へ取り込むので、これによりグルコースの取り込みが促進し、血糖値が低下するのは分かると思います。
その他にもAMPキナーゼの活性化により肝臓での糖新生が抑制されます。糖新生は解糖系の逆であることを考慮すれば、ATPの産生促進で糖新生が抑制されるのは分かると思います。

以上イメグリミンの働きを詳しく見てみました。
全体的にはDPP4阻害薬とメトホルミンを合わせた感じですね。ただしどちらも細かい作用機序は異なるので別物です。

最後にツイミーグ®錠の特徴を見ておきましょう。
最大の特徴はインスリンを含むあらゆる糖尿病治療薬と併用が可能な事です。
(メトホルミンとも併用可能です。似た作用をしますが、細かいところは違うのでしょう)
これにより今までの治療で効果不十分だった人に対して、新たな可能性を追加した形になります。

注意すべき副作用は、他剤との併用による低血糖ですね。単剤では低血糖のリスクは低いです。インスリン分泌促進作用がグルコース依存的であることに加え、糖新生抑制や、糖の取り込み促進ではあまり低血糖は起きません。しかし他剤との併用、特にインスリンやSU剤との併用で低血糖のリスクは上昇します。添付文書を見ても低血糖は6.7%と決して低い数字ではありません。その他には下痢や便秘、悪心などの胃腸障害があります。

さて9月の発売以降、血糖値がなかなか下がらない患者にとってどれだけの効果を出すか。じっくり動向を見守りたいを思います。

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