潰瘍性大腸炎治療薬5-ASA製剤、SASP製剤の特徴

潰瘍性大腸炎

昨日当薬局でペンタサ顆粒を服用している患者さんが、リアルダ錠(1200)に処方変更しました。今回は潰瘍性大腸炎の治療薬について書いてみようと思います。

潰瘍性大腸炎の治療薬はいくつかありますが、今回はメサラジン(以下5-ASA)とサラゾスルファピリジン(以下SASP)について書いていきます。
5-ASA製剤にはペンタサ錠、ペンタサ顆粒、ペンタサ注腸液、ペンタサ坐剤、アサコール錠、リアルダ錠があります。
5-ASAはそのまま服用すると大半が小腸で吸収されるため、潰瘍性大腸炎の病変部位である大腸まで届きません。そのため製剤的な工夫がされています。
ペンタサはエチルセルロースフィルムを通して徐放されるよう製剤化されています。小腸から大腸にかけて放出されるので、潰瘍性大腸炎の他にクローン病にも有効です。
しかし坐剤や注腸液は肛門から挿入する関係で、大腸では効果を発揮しますが小腸まで届きません。そのためペンタサ坐剤、ペンタサ注腸液はクローン病に適応がないことになります。
アサコール錠、リアルダ錠はpH依存的に5-ASAが放出されるよう製剤化されています。腸管内は小腸⇒大腸と移動するにつれpHが上がり、アルカリ性になります。アサコール錠もリアルダ錠もpH7以上のアルカリ環境下で5-ASAが放出されます。大腸で初めて5-ASAを放出するため、クローン病には有効性がなく、その一方大腸で効率よく5-ASAが放出するため、大腸炎には高い効果を示す形になります。
アサコール錠はpH7以上でフィルムコーティングが崩壊し、5-ASAが放出されるのに対し、リアルダ錠はフィルムコーティングが崩壊後、腸液で内部がゲル化されます。その影響で回腸から直腸にかけてさらにゆっくり5-ASAが放出されます。アサコール錠が1日3回服用なのに対し、リアルダ錠が1日1回服用なのはそのためですね。
SASPは5-ASAとスルファピリジンがアゾ結合したプロドラックになります。製品としてはサラゾピリン錠、サラゾピリン坐剤があります。SASPは大腸で腸内細菌によって5-ASAとスルファピリジンに分解され、効果を示します。そのためクローン病には有効でなく、潰瘍性大腸炎にのみ効くことが分かります。(サラゾピリン錠はこの他にも限局性腸炎、非特異性大腸炎にも適応があります)
今回当薬局でペンタサ顆粒からリアルダ錠に変更になった患者さんは、血便があったため検査したところ、ポリープが見つかりました。幸い良性だったのですが、直腸の炎症が思ったよりも強かったので、ペンタサ顆粒に比べてより大腸の炎症を効率的に抑えるリアルダ錠に変わったといった経緯です。
このように製剤的な特徴で適応、服用回数が異なる形になります。単に暗記するより記憶に定着し易く、また処方の意図も理解できます。薬は1個1個掘り下げてみてみると面白いですよ。
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