筋委縮性側索硬化症

疾病・病態
京都市で難病の筋萎縮性側索硬化症の患者を安楽死させたとして医師2名が逮捕されました。
安楽死や尊厳死についての議論はさておき、薬剤師もこの疾患についてはある程度知っておかないといけないと思います。

筋委縮性側索硬化症(以下ALS)は運動ニューロンの変性によって生じる神経変性疾患であり、全身の筋力低下、筋委縮を主症状とします。
運動ニューロンは上位運動ニューロン、下位運動ニューロンの両方が変性します。
下位運動ニューロンの変性は四肢で起きると手足の筋力低下、筋委縮が起き、舌やのどで起きると話すことや嚥下が困難になります。
上位運動ニューロンに変性が起きると腱反射の亢進や筋緊張を高めたりします。

一般的に易疲労、筋力低下など軽微な症状から発症し、数年をかけて徐々に進行し、最終的には呼吸筋の麻痺により自立呼吸ができなくなります。人工呼吸器を使わないと生存期間は3~5年と言われています。
一方で眼筋麻痺や感覚障害は起こりにくく、認知障害は伴いません。(症状の進行した患者さんとは眼球運動を利用してコミュニケーションを取ります)
これらから分かるように軽度の症状から始まり、徐々に自分のできることがなくなっていく形です。
また認知機能は低下しないので、徐々に悪くなっていく症状を自分で認識できてしまいます。
これってとても辛いことですよね。2人の医師のしたことは許されることではないですが、患者は自らの意志で安楽死を依頼したことから、本人はとても辛かったのだと思うと胸が痛くなります。
安楽死や尊厳死がいいのかは分かりません。それよりも早くこの難病の治療法が確立されることを祈っています。

※現在ALSの唯一の治療薬はリルテック®(成分名:リルゾール)だけです。
治癒に向かわせるのではなく、進行を抑制するだけです。 神経細胞の変性の原因としてグルタミン酸NMDA受容体の過剰刺激が考えられています。リルゾールがグルタミン酸の分泌阻害、受容体遮断により効果を発揮します。  

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