2022年調剤報酬改定 薬剤調整料・調剤管理料・服用歴管理指導料の新設 ①薬剤調整料について

調剤報酬

前回の記事に引き続き、調剤報酬改定についてです。
今回の改定でかなり変わる箇所として、調剤料と薬剤服用歴管理指導料が変更になります。これをじっくり理解しましょう。
まずは現在の制度を確認します。調剤報酬は
「調剤技術料」+「薬学管理料」+「薬剤料」+「特定保険医療材料料」
で構成されています。薬剤料は薬そのものの値段、特定保健医療材料料はインスリン注射の針などですね。この辺は説明は要らないと思います。

それでは調剤技術料をもう少し見てみましょう。
調剤技術料は調剤基本料調剤料に分けられます。調剤基本料は薬局における基本料であり、この辺も特に説明はいらないでしょう。
※今回の改定における説明はこちら ⇒ 2022年度調剤報酬改定 調剤基本料について
それでは調剤料とは何でしょう?これは薬を用意することによる手間に対する報酬です。そのため内服薬、外用薬、頓服薬、注射薬などで点数が異なっており、手間のかかる浸煎薬、湯薬などでは点数が高く、また手を加えなくてはならない加算として一包化加算、計量混合加算、自家製剤加算などがあるわけですね。

次に薬学管理料について見てみましょう。
薬学管理料は対人業務に対する報酬です。最も一般的な薬剤服用歴管理指導料は患者ごとに服用歴を管理し、用法用量、副作用、相互作用等の確認、正しい服薬指導をし、記録をして次回につなげるといった仕事に対する報酬です。これに注意の必要なハイリスク薬の指導、乳幼児の指導、麻薬の指導といったことをすることにより、加算が与えられるわけです。

ここまでを総括して 手間(技術)に対する報酬=調剤料 対人業務に対する報酬=薬学管理料 というのが分かったと思います。それでは今回の改定でこれらがどのように変わるかを見てみましょう。


今回の改定で調剤料のうち薬の取り揃え、監査といった対物業務が薬剤調整料になります。調剤料には患者情報の評価や処方内容の薬学的判断、調剤設計といったものも含まれていますが、これは対人的な業務であると見なされました。
薬剤服用歴管理指導料は中身をじっくり見ると患者情報・医薬品情報の収集、疑義照会、薬歴の管理といった部分と、服薬指導、薬剤の交付、薬歴の作成、フォローアップといった部分に分けれらます。投薬する前の対人業務、投薬後の対人業務といったイメージです。調剤料の中の対人要素の強い業務と、薬剤服用歴管理指導料のうち投薬前の対人業務が組み合わさって調剤管理料となります。
そして薬剤服用歴管理指導料のうち主に投薬後における対人業務が服薬管理指導料となります。

今回の改定の最も大きな箇所かもしれませんね。それではこれから薬剤調整料、調剤管理料、服薬管理指導料についてさらに深堀しましょう。


・薬剤調整料
これはいわゆる対物業務に対する報酬です。薬を取りそろえたり、間違えが無いか監査したりといった業務に対する報酬です。今までの調剤料と基本的にはあまり変わりませんが、調剤から調整に名称が変更になっていますね。調剤というのは当初は単に薬の取り揃えと解釈されていましたが、調剤というのは薬の取り揃えから投薬、服薬情報の管理まで全てを含めたものと改められました。それに伴い単なる薬の取り揃えは”調整”と名称を変え、薬剤師の指揮下では事務員もできるようになりました。それにより単なる薬の取り揃えは薬剤”調整”料となったわけですね。
また点数における変更点が3つあります。

①内服薬を調剤した際の点数が一本化
現在の調剤料では
 7日以下の場合:28点
 8日以上14日以下の場合:55点
 15日以上21日以下の場合:64点
 22日以上30日以下の場合:77点
 31日以上の場合:86点
となっていました。今回の改定で日数に関係なく24点に一本化されます。まあ錠数を多くピッキングしたからといって労力が変わるわけではないので、これは妥当じゃないかなと思います。

②自家製剤加算が錠剤では予製として扱う
現在の自家製剤加算は
内服薬は
錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エキス剤の内服薬…20点
錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エキス剤の頓服薬…90点
液剤…45点
外用薬は
錠剤,トローチ剤,軟膏・硬膏剤,パップ剤,リニメント剤,坐剤…90点
点眼剤、点鼻剤、点耳剤、浣腸剤…75点
液剤…45点
となっており、予製については20%の点数にするとされています。実際に予製として点数を算定している薬局は無いでしょう。今回の改定では錠剤の自家製剤加算については予製として扱い、20%の点数を算定しなくてはなりません。

③一包化加算が外来服薬支援料2となる
現在は調剤料の加算として一包化加算があります。今回の改定では薬剤調整料(現剤の調剤料)の加算には組み込まれていません。外来服薬支援料2として薬学管理料に組み込まれます。今回新設された外来服薬支援料2の算定要件は以下のようになっています。

「多種類の薬剤を投与されている患者⼜は⾃ら被包を開いて薬剤を服⽤することが困難な患者に対して、当該薬剤を処⽅した保険医に当該薬剤の治療上の必要性及び服薬管理に係る⽀援の必要性の了解を得た上で、2剤以上の内服薬⼜は1剤で3種類以上の内服薬の服⽤時点ごとの⼀包化及び必要な服薬指導を⾏い、かつ、患者の服薬管理を⽀援した場合に、当該内服薬の投与⽇数に応じて算定する」

内容としては今までの一包化加算と同じです。そして点数は以下のようになっています。
・42日分以下の場合 7日ごとに34点
・43日分以上の場合 240点
今までの一包化加算が42日分以下の場合は7日ごとに32点、43日以上の場合は220点だったことを考えると少し上がっています。今までは一包化加算は対物業務における加算だったのに対し、今回の改定で対物加算からは外れ、薬学管理料となっています。対人業務に対する報酬になるので点数が上がったのですね。

薬剤調整料について総括しましょう。
薬剤調整料を表にすると以下のようになります。

まだ薬剤調整料の加算を表にすると以下のようになります。


調剤管理料、服薬管理指導料については今回の記事では書ききれないので、今回は薬剤調整料の記事で一旦終了します。調剤管理料、服薬管理指導料については次回以降の記事に続きます。
今回の改定の理解は大変です。解説が終わるまでまだまだ時間がかかりそうです。私のブログは1つ1つじっくり理解するスタイルなので、どうしてもボリュームが多くなり、時間もかかってしまいます。時々別の記事を挟みながら、何とか3月末までに終わらせたいです。気長にお付き合いください。

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