2022年度調剤報酬改定 調剤基本料について

調剤報酬

薬局勤務の方には2年に1回の大変な時期が迫ってきました。調剤報酬改定です。毎回沢山覚え直さなくてはならないので、苦労しますね。徐々に情報が入ってきましたので、今回から改定内容について1つ1つ丁寧に解説していきます。今回は調剤基本料の変更点を解説します。


現行の調剤基本料は1,2,3のイ、3のロおよび特別調剤基本料に分けられていました。今回の改定では3のロの要件の変更と、3のハの新設、特別調剤基本料の点数の変更があります。
まずは3のロの変更点から見てみましょう。現行の3のロは以下の要件を満たすものになります。

同一グループ内の保険薬局における処方箋受付回数の合計が1ヶ月で40万回を超えるグループに属する保険薬局のうち、以下のいずれかに該当する場合。
(ただし特別調剤基本料に該当する薬局を除く。)
 ・特定の保険医療機関に係る処方箋の割合が85%を超える
 ・特定の保険医療機関との間で不動産の賃貸借取引がある

グループ薬局で個人医院の門前にある薬局がかなりこれに該当します。グループ薬局なら全体での処方箋受付回数は簡単に1ヶ月40万回を超えますし、門前薬局では集中率が85%を割るのも難しいです。しかし今回の改定で以下のように変更になります。

同一グループの保険薬局における処方箋受付回数の合計が1ヶ月で40万回を超える、または同一グループの保険薬局の数が300以上のグループに属する保険薬局のうち以下のいずれかに該当する場合。
(ただし特別調剤基本料に該当する薬局を除く。)
 ・特定の保険医療機関に係る処方箋の割合が85%を超える
 ・特定の保険医療機関との間で不動産の賃貸借取引がある

今まではグループ薬局の規模を受付回数で判断していました。今回からはこれに加えて薬局数も判断材料になります。グループ全体の処方箋受付回数が1ヶ月40万回以下でも、薬局数が300以上なら基本料3のロになってしまいます。調剤基本料16点は変わりません。

次に新たに新設された調剤基本料3のハについて見てみましょう。
3のハは以下の要件を満たすものになります。

同一グループの保険薬局における処方箋受付回数の合計が1ヶ月で40万回を超える、または同一グループの保険薬局の数が300以上のグループに属する保険薬局のうち以下に該当する場合。
 ・特定の保険医療機関に係る処方箋の割合が85%以下
(ただし調剤基本料2、不動産の賃貸借取引がある、特別調剤基本料に該当する薬局を除く。)
⇒調剤基本料は32点

今までは1ヶ月の処方箋受付回数が40万回を超えるグループ薬局でも、集中率が85%を切っていれば調剤基本料1でした。しかし今回からは85%以下でも調剤基本料3のハとなり42点から32点になります。また1ヶ月の受付回数40万回以下でも、薬局数が300以上なら3のハになります。つまり大規模なグループ薬局の基本料を軒並み下げようといった趣旨ですね。

最後に特別調剤基本料について見てみましょう。
特別調剤基本料(調剤基本料注2に規定する厚生労働大臣が定める薬局)は、以下の要件に該当する薬局が該当します。

・保険医療機関と不動産取引等その他特別な関係を有している保険薬局であって、当該保険医療機関に係る調剤の割合が70%を超える
・調剤基本料の届け出を行っていない

「不動産取引等その他特別な関係」とは次のようなものが該当します。

敷地内薬局はもちろん、駐車場の賃貸借契約をしていたり、医療機関に会議室などを貸している薬局が該当します。(ただし医療ビルなど保険医療機関と同じ建物に薬局がある場合は除かれます)
今回の改定で特別調剤基本料は9点から7点に引き下げられます。
また特別調剤基本料を算定している薬局は

・地域体制支援加算を算定していても、それを20%減算
・後発医薬品調剤体制支援加算を算定していても、それを20%減算
・服薬情報提供料においては、特別な関係のある医療機関に対しての提供は算定できない

といった条件がつけられます。特別調剤基本料の算定薬局はたまったものじゃないですね。もともと国が敷地内薬局を認めたのに、この仕打ちです。途中でどんどんハシゴを外すのはお上の常套手段ですが、それにしてもこれは酷いですね。

今回の改定で調剤基本料を一覧にすると以下のようになります。

今回の改定で調剤基本料に関しては改悪しかありません。別の記事でまた1つ1つ解説していきますが、対人加算は点数が高くなる傾向にあります。調剤基本料のような、患者全員に一律算定できる点数に関しては低くなっていくのでしょう。しかし調剤基本料は現場の薬剤師の努力ではどうすることもできない事が多いのもまた事実です。特にグループ薬局は徹底的に点数を下げられます。グループ薬局が高い点数を算定できなくなれば、それだけで調剤報酬が下がり、ひいては社会保険料を下げるからでしょう。グループ薬局は社会のための生贄ですね💦

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